東日本大震災から10年。その後も日本は多くの災害を経験してきた。避難所生活から新しい暮らしを再建するにあたり、重要な存在となるのが仮設住宅だ。従来プレハブのイメージが強かったが、最近はその形態も多様化してきているそう。
近年多くの災害を経験した熊本県、首都直下型地震に備える東京都、避難所や被災者用住宅に設備を提供しているLIXILの担当者へ話を聞いた。
2016年の地震、2020年の豪雨災害と、近年災害が続いた熊本県。2016年の地震ではプレハブ及び建設型の木造仮設住宅が活用されたが、2020年の豪雨災害では、仮設住宅として初めて球磨村でトレーラーハウスが導入された。

球磨村で導入したトレーラーハウス外観(写真提供/熊本県)
トレーラーハウスとは、工場で生産されるコンテナサイズの住宅だ。解体せずに基礎から建物を切り離してトラックで輸送することができる。既に建物としては完成しているため、準備期間を短縮できることが特徴だ。
背景として、被災規模が大きかった球磨村は、賃貸住宅がほとんどない地域だった。高齢者も多く、避難所での生活を長期間強いることは避けたいが、建設型の仮設住宅を建てるとなると1.5~2カ月ほどかかってしまう。
そこで、北海道胆振東部地震等で導入実績があるトレーラーハウスに目を付けた。発災から2週間で発注を決定し、さらにその2週間後には33戸のトレーラーハウスが球磨村に到着。その後追加で35戸が到着し、68世帯が新たな生活を開始した。