東日本大震災から15年。ゲストは、阪神・淡路大震災での被災経験を持ち、国内外30カ所以上の被災地で活動してきた国際災害レスキューナースの辻直美さん。

命が助かった「その後」に、自分や大切な人の心と体をどう守り、日常へとつないでいくのか。今日から、今すぐできる「自衛術」を教えていただきました。

自分の居場所のリスクを具体的に把握したうえでいざという時のための準備をしておこう!

「防災グッズを買って安心」は禁物。まずは自分が住んでいる場所で、実際に何が起きるのかを予測することが第一歩です。便利なWEBツールを活用しましょう。

「パーソナル防災サービス #pasobo(パソボ)」
*13個の質問に答えるだけで、家族構成や個人の特性(暑がり、潔癖症など)に合わせた、あなただけの防災対策を提案してくれます。

「重ねるハザードマップ(国交省)」
*「重ねるハザードマップ」は、国土交通省のWEBサービスで、住所を入力するだけで、土砂災害や、津波、高潮などのリスクを教えてくれる。
*住所を入れるだけで、津波や土砂災害のリスクが「色」で表示されます。
*視覚的に一目で危険度がわかるので、避難ルートの検討に最適です。

▼ちなみに、もちろん紙のハザードマップでもOK!使いやすいものを選んでみてください。

地震が起きたら、まず部屋の中の安全地帯に逃げましょう!避難するべきかは、落ち着いてから考えるのでOK!

▼「安全地帯」とは
部屋の中の1か所で良いので、物が倒れてきても当たらない場所を、きれいに片づけておきましょう。そこに、水や食料を置いておけば、いざというときに、家の中を歩き回ることもなく過ごすことができます。(ガラスが割れてしまった場合や、物が散乱してしなった場所を歩いたりするのは、本来しなくてよかったケガを引き起こすもとに・・・)そこに防災バッグを設置しておくのもオススメです。

▼そして、避難は揺れが収まって落ち着いてからです。


まず、部屋の状況が安全なのか確認しましょう。落ち着いてからとはいっても、建物が倒壊したり、火災の場合にはすぐに避難する必要があります。壁にひびが入っていないか、火災は起きていないか、ドアや窓は空くかを確認して、安全を確保してから、地震の場合には、避難所に行くのか、それとも部屋で過ごす方が自分の心が安心できるのか考えて、 本当に避難するのか決めましょう。(あくまで、地震のみで部屋の中が安全だと判断できて、津波のリスクが無い時の話)

▼そのうえで、避難しようと思う方は、正しい避難所に行きましょう。
→洪水や地震、土砂災害などから、一時的に身を守るための一時避難場所。
→大規模な火災が起こっているなら、延焼のリスクが低い広域避難所。
→自宅が被害を受けて帰れない人が、生活拠点を移す場所となるのは指定避難所。
・これらは、ハザードマップなどで確認できるので、事前にチェックしておきましょう。

▼ただ、地震が起きてすぐに指定避難所に行っても、誰もいません。
避難所を運営していくのは、そこに集まってきた人たち自身です。避難所についた人から、避難所として機能させるための準備をしていくものです。それを踏まえたうえで、一人で生活するのが難しい方や、大勢の人と一緒にいる方が安心する方などは、避難所に行くのも一つの選択肢。


▼ただ、忘れないで欲しいのが、
① プライバシーは守られにくいこと。
一つ屋根の下で共同生活が始まるわけなので、被災してすぐに、個人のプライバシーを守る状態を作るのは難しい。

② 避難所には自分で用意しておいた、防災バッグを持って行っていくこと。
震災が起こってすぐに物資は集まってこないし、みんな自分を生かすことで精いっぱい。
→コロナ渦にマスクが不足した際、自分の分でさえ足りていないのだから、人にあげるのはなかなか難しかったですよね。それと同じで、避難所での暮らしは自己責任。自分の物は自分で用意しておきましょう。

きょうできる!大きな地震が起きた際の生活の練習をしよう!

▼練習①「便器の代わりとなるような、受け皿を探してみる」
色々なものを準備しておいても、実際に取りに行けて、使うことができなければ意味がありません。では、いま、早速練習してみましょう。多くの方が準備している防災トイレ。実は便器の代わりとなるような、受け皿がないと使いにくいものもあります。トイレに行きたくなってから探すのでは遅いです。

いつでも取ってこられる位置に置いておきましょう。

▼練習②「懐中電灯を探してみる」
同じように、今日の夜、部屋の中を真っ暗にした状態で、懐中電灯を持ってくる練習をしてください。夜中に停電が起きてからじゃ遅いです。お子さんも一緒に、宝探し感覚でやってみるのも良いと思います!

▼練習③「口の中を潤す練習」
災害時に、ペットボトルに直接口をつけて飲むのは、ボトルの中の雑菌が増殖してしまうリスクがあるので、辞めた方が良いです(細菌感染などを極力防ぐため)。実は、能登半島の震災の際には、自然災害の影響で亡くなられた方よりも、災害関連死された方が2倍も多かったんです。(災害関連死とは、避難生活での慣れない生活などがもととなって、身体的負担などが要因で亡くなること)そういった意味で、デリケートゾーンの衛生維持や、口腔ケアはとても重要。

→ペットボトルのフタを開けて、蓋に入るだけの飲みものを注ぎます。それを口をつけずに口に入れる!

今晩は電気を消して懐中電灯を取りに行く練習を。いますぐにでき...の画像はこちら >>


▼たったひと口の水分でも、唾液がじんわりと溢れてきてくれます。また、とにかく口の中を潤しておくことが大切なので、防災バッグに雨やガムを入れておくのもオススメ。災害時は「誤嚥性肺炎」などの関連死も防がねばなりません。ペットボトルのキャップ一杯の水を口に含み、10秒数えてから飲む。これだけで唾液が出て、口の中の衛生状態が改善されます。



どれも、きょう、今すぐにできると思うので、やってみてください。

辻直美さん

今晩は電気を消して懐中電灯を取りに行く練習を。いますぐにできる、防災レッスン

・一般社団法人育母塾代表理事。
・今年の4月で看護師歴35年、災害レスキューナース歴は31年。被災地への派遣は国内外合わせて30ヶ所以上。
・看護師として活動中に、阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に、災害医療に目覚める。
・被災地での過酷な経験をもとに“本当に使えた”防災の「自衛術」を、多くの人に知ってほしいと、大学や小中学校だけでなく、企業や一般向けの講座も行なっている。

TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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