ゲストは、ZACROS株式会社の髙橋 茉莉子(たかはし まりこ)さん。1914年の創業以来、「包む」技術を追求し続けてきた同社は、2024年に藤森工業から現社名へと生まれ変わりました。

シャンプーや化粧品の詰め替えパウチでおなじみですが、実はその技術は、30年かけて進化を続けています。さらには細胞培養バッグや培養肉の研究など、「包む」から広がる新たな挑戦についてもうかがいました。

防水包装紙から始まった、100年以上の歴史

西田 もともとは藤森工業という会社名だったんですね。

高橋 はい。藤森工業という名前で、1914年に創業しております。

西田 100年以上! 東京駅ができた年ですね。当時はなにをされていたのですか?

高橋 木や織物といったものを包むための、防水の包装紙をつくっていました。

西田 その会社が2024年に「ZACROS」という名前に変わりました。どんな思いが込められているんでしょうか。

高橋 「Z」がアルファベットの最後の文字で、「究極」を意味しています。つづく「ACROS」は、「先端」という意味を込めて、自社でつくった造語です。この2つを組み合わせた言葉なんです。

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30年で進化した、詰め替えパウチの「見えない技術」

西田 ZACROSといえば詰め替えパウチですね。これがはじまったのはいつですか?

高橋 1995年からです。

西田 もう30年! 実は、かなり進化していると聞きました。

高橋 そうですね。目立たない部分ですが、改良を重ねています。手で切れるようにしたり、注ぎやすくするためにパウチの中にストローのような構造を入れたりしています。

西田 なるほど。特にヘアトリートメント用のパウチがすごいとうかがいました。どんな点が特徴なのでしょうか。

高橋 通常のパウチは、強度を保ったり中身の漏れを防いだりするために、複数の種類のプラスチックを貼り合わせてつくられています。 ただ、その構造ではリサイクルが難しいという課題がありました。

西田 異なる素材を重ねているから、分別できないんですね。

高橋 そうなんです。そこで、ポリエチレン1種類だけでつくる、単一素材の詰め替えパウチに挑戦しました。

西田 開発は大変でしたか?

高橋 通常は、パウチの外側に熱に強い素材を、内側に熱で溶けやすい素材を使い、内側だけを溶かして接着することで袋の形にします。ただ、同じ素材だと全部ドロドロに溶けてしまうんです。それでも、きれいな袋の形に仕上げる技術を開発しました。

捨てずに、こぼさず、リサイクル。最後の一滴まで無駄にしない技術のZACROS

西田 すごい。他にどんなものを手がけているんですか?

高橋 薬のパッケージも手がけています。風邪薬の顆粒が入ったものや、錠剤を押し出すシート、湿気を防ぐ性能や強度にこだわった素材を使ったものなどです。紙を使った、環境にやさしいペーパーパウチもつくっています。

詰め替えパウチから培養肉まで。「包む」から広がる、新しい挑戦

西田 あたらしい分野にも挑戦していると聞きました。

高橋 はい。医療分野の製品も多く手がけており、細胞を培養するためのバッグを開発しています。細胞を育てるための液体(培養液)をたっぷり入れ、その中で細胞を増やしていく袋です。

西田 袋だけでなく、装置もつくりはじめたんですよね。

高橋 はい。その装置を使って、自社でも細胞を増やす研究に挑戦しています。大阪大学と連携し、大阪・関西万博での培養肉の展示にも協力しました。

西田 ひとつの細胞から何十億個にも増やしていくんですね。

高橋 お肉と言える大きさになるまで細胞を増やす工程を、ZACROSが担当しています。

捨てずに、こぼさず、リサイクル。最後の一滴まで無駄にしない技術のZACROS

西田 詰め替えパウチも、培養肉のバッグも、根っこにあるのは「包む」技術なんですね。最後に、一言お願いします。

高橋 今年で創業112周年を迎え、藤森工業からZACROSへと社名を変更して1年半が経ちました。私たちは「包む」ことからはじまり、今もその技術を追求しつづけています。詰め替えパウチや包装材に技術を注ぎ込んでいる会社があることを、思い出していただけたらうれしいです。

捨てずに、こぼさず、リサイクル。最後の一滴まで無駄にしない技術のZACROS

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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