TBSラジオ「ACTION」(月-金15:30~17:30)。

4月18日。

木曜日のパーソナリティは、新刊「ポルシェ太郎」が絶賛発売中の羽田圭介さん。
ということで?ゲストは、日本人で過去3人しかいない、ポルシェのデザインを担当されていた、富山大学教授・内田和美さんでした。

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幸坂:さて、ポルシェと言えばその名前を知らない人はいないであろう、ドイツの自動車メーカーですけど、今日は3つのキーワードからお話を伺いたいと思います。

◆1:車には国民性が出る!究極の実用車、ポルシェ
◆2:日本人では過去たった3人!ポルシェデザイナーになるには?
◆3:使いやすさは求めていない!車を作るのではなく、ポルシェを作る

羽田圭介とポルシェ談義「車を作るのではなく、ポルシェを作る」

羽田:早速「1」なんですけど、高級車と言われる車はたくさんありますが、例えばフェラーリやランボルギーニなどと比較して、ポルシェのすごいところはなんでしょうか?
内田:よくカーデザイナー仲間の間でもその話は出るのですが、車って、女性に例えられることがあるのですが、フェラーリは単刀直入に言うと美人スーパーモデル。
幸坂:なるほど、イメージしやすい。
内田:で、ポルシェは、良き妻。


羽田:あ~、なるほど。
内田:フェラーリはイタリアなので、イタリア文化に詳しい方は分かると思いますが、伝統で大理石の美しい雅な歴史と文化がありますのでね。フェラーリってレースのイメージがあると思うんですが、F1レースをするためにフェラーリという車を作っているみたいなイメージ。それに対して、ポルシェはある意味、究極の実用車なんです。

羽田圭介とポルシェ談義「車を作るのではなく、ポルシェを作る」

羽田:僕ポルシェって思うんですが、車幅が1800mmぐらいで、日本の狭い機械式駐車場にも停められるじゃないですか。ドイツの駐車場ってそんな狭いのかなって(笑)フェラーリって横幅が広いからなかなか駐車場に停められないじゃないですか。
あれってどういう思想の違いなんですか?
内田:ポルシェは実用車ですが、普段使いだけの車ってことでもないんですね。ドイツはアウトバーンがありますよね、今でも一部は時速制限がない、だからいくらでも飛ばせるんです。300キロだろうが400キロだろうが。そうなると元々ポルシェというのは、広大なヨーロッパ、特にドイツでの移動ですね。人生の貴重な時間を、スピードで買っている。5時間かかるところ2時間で行く、みたいな。

幸坂:車に国民性が出てますね。

羽田:でもちょっと思うのが、ドイツの国土ってそんなに広いわけじゃないですよね?
内田:ただドイツの上から下まで、私もフォルクスワーゲンのとき、スタジオが南と北にあったんですけど、それでもアウトバーンでアクセルペダルを踏みっぱなしで…
羽田:踏みっぱなしですか(笑)

羽田圭介とポルシェ談義「車を作るのではなく、ポルシェを作る」

内田:ほとんど踏みっぱなしで、平均時速も160キロや170キロなんですけど、それでも5時間、6時間ですね。
羽田:日本だと通勤って、都心ですけど電車のイメージがありますが、ドイツはそんなに電車は使わないですか?
内田:ICEというのがありますけど、都市から都市は繋がってますが、ただ町外れとか、自動車自体って郊外にあるんですね。テストコースや、秘密のスタジオとかは隠れ家みたいで。大体重要なプロジェクトをやっているのは郊外なので。そこへのアクセスというのは電車はあまり確保されてないですね。

車が良いのは自由に休憩して、自由なプライベート空間ですね。時間を買うのごとく、好きなように移動できる自由が文化として根付いているというのが、ポルシェとフェラーリの違いですね。
羽田:国民性ということでいうと、日本車も国民性ってあるんですか?
内田:日本にいるとなかなか気が付かないと思うんですが、日本ってたくさん車が出てますよね。2代目、3代目前の車のイメージって覚えていらっしゃいますかね?
羽田:ちょっと冷蔵庫みたいな形の車が多いなってイメージで…、そんなには思い浮かばないですね。
内田:言うなれば、“スクラップ・アンド・ビルド”っていうデザインなんですけど…
幸坂:おぉ~!!羽田さんの小説!
羽田:ありがとうございます(笑)確かに、すぐ全然違うものを作るっていう感じですかね。

羽田圭介とポルシェ談義「車を作るのではなく、ポルシェを作る」

内田:それが日本の文化だと思うんですね。
時代に合わせてゼロスタートする。
羽田:確かに、高級ドイツ車ってあんまりデザイン変わってないですよね。一目でそのシリーズだって分かりますよね。
内田:というところでヨーロッパでよく言われるのが、“車は伝統である”と。家系があって、家紋があると。
幸坂:分かりやすい!
内田:ポルシェにはポルシェの家紋、フェラーリはフェラーリの家紋。
日本車はどちらかというと総合デパートなので、品揃いがあって選べて、お値ごろの価格で、アフターサービスも良くて。道具としては非常に優秀ですね。

羽田:資料を見てびっくりしたのですが、ポルシェに入られて内田さんは初代カイエンのインテリアデザインを担当されていたということなんですが。そうなんですか?
内田:はい、その通りです。
羽田:カイエンの初代のあれ…、内田さんがデザインされてるんですね!
内田:ありがとうございます。
羽田:革張りってかっこいいんですよね。乗ったこともありますが、すごいですよ。
幸坂:へぇ。他に日本人の方っていらしたんですか?

羽田圭介とポルシェ談義「車を作るのではなく、ポルシェを作る」

内田:ポルシェは日本人はこれまで3人いまして、1人は有名なKEN OKUYAMAさん。もう1人は山下修一さんって方で、彼は今もポルシェデザインをやっています。
羽田:へぇ~。ポルシェのデザイナーが乗ってる車ってやっぱりポルシェなんですか?社割とかあるんですか?(笑)
内田:今はフォルクスワーゲングループですので、フォルクスワーゲンとアウディの車は乗れますね。社割はありません(笑)月3万から4万ぐらいですね。
羽田:えっ、いいですね!
幸坂:それはお得なんですか?
羽田:安いですよ!年間で60万で、10年で600万ですよ。それで乗れるんだったら良いですよね。いいなぁ。
内田:オススメしますよ(笑)

◆4月18日放送分より 番組名:「ACTION」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190418160000