TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で中村友美ディレクターが取材報告しました。読書の秋。
本を読みたいけれどどう選べばいいのかと悩んでいる方にぴったりの、新しい本と出会えるユニークな取り組みとは。

カルテに基づいて書店員が本を選ぶサービス

まずは、オンラインで書店員さんに自分に合った本を選んでもらえる「ブックカルテ」。株式会社リグネの舩橋利帆子さんのお話です。「書店員さんに約1万円の本を選んでもらうサービスです。絵本や児童書に詳しい方や、ビジネス書であったり、特定のテーマにのっとった本に関して詳しい方、いろんな方がいらっしゃいますので、その方をサイト上から選んで頂いて、1万円分本を選んでもらうというような内容になっています。おうち時間が増えた中で広い層から使って頂いて、コロナ禍での効果も実感しております。」(株式会社リグネ・舩橋利帆子さん)
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元々は北海道の「いわた書店」が始めて、それを全国の書店にも広げたのが「ブックカルテ」。小説、絵本、ビジネス書などそれぞれ得意分野を持つ書店員さんが約30名参加していて、その中からサイト上で1人選択します。
読書の秋。新たな本に出会えるユニークなサービス
次に、「ブックカルテ」というだけあって、カルテの記入をします。自分の普段の読書習慣や本の好み、仕事内容、今悩んでいることなどかなり細かいです。その情報を基に、書店員さんが1万円分なので10冊ほどのリストを送ってくれます。「これは既に読んだので外して」などやりとりをした上でリストが確定したら、その本が郵送で自宅に送られてきます。利用料金は送料や選書料込みで、一回につき一律1万2500円。昨年末のサービス開始からこれまで約200件、1500~2000冊の利用実績があるそうです。

不動産会社社長のために選んだ「英国の間取り」

「ブックカルテ」では実際にどういった形で本が選ばれるのか、参加する書店員の1人に聞きました。「僕、ビジネス書メインの選書をやってるんですけど経営者の方とかが多くて、会社にとって有益というよりも、経営者の方の人生を豊かにする本みたいなのが結構来るんですね。不動産会社の経営者の方から注文が入ったんですけど、その時は一般的なビジネス書の売れ筋とか新刊で僕が読んで面白かったものにプラスして「英国の間取り」っていう、イギリスとかの家の間取りが載ってるおしゃれめな本があるんでそれを入れましたね。不動産会社やってるということは住宅とかに興味が当然あると思うので、そういうのも参考にしてもらえたらいいかなと。」(埼玉県朝霞市の「CHIENOWA BOOK STORE」店長・佐藤正裕さん)
読書の秋。新たな本に出会えるユニークなサービス
カルテには他にも家族構成、好きなこと嫌いなことなど様々な項目があり、書店員としても選書力が鍛えられると仰ってました。また、今コロナ禍で書店の集客が大きく減っている中、ブックカルテをきっかけに埼玉県外からも本を注文してくれる人が多く、先ほどの不動産会社社長も静岡県の方だそうです。

銭湯の中にミニ本屋を開業!「フロナカ書店街」

他にも新たな本に出会えるユニークなサービスがあります。東急目黒線西小山駅近くの銭湯「東京浴場」。こちらに「フロナカ書店街」というコーナーがあります。
読書の秋。新たな本に出会えるユニークなサービス
「銭湯のロビーの部分に壁3面、フロナカ書店街の棚がありまして、ひと棚32センチ×32センチの枠をお客さんに貸し出して、その利用者の方がそこに自分の本を並べて本屋さんをやるっていう。うちが銭湯なのでお風呂に関する本を並べてたり、あとは子供向けに絵本を並べてるっていう方、本当にいろんな方がいますね。西小山に本屋さんが一店しかないんですよ。銭湯と同じように廃業のペースが速くて斜陽産業って言われてる中で、うちの中だったら西小山に本屋さんいっぱい作れるなっていうので始めたサービスですね。」(東京浴場店長・相良政之さん)
読書の秋。新たな本に出会えるユニークなサービス
月4000円で、誰でも銭湯の一角にある棚の中に本屋さんを開業できるという「フロナカ書店街」。今100個ある棚のうち50個ほどが埋まっていて、例えばプロレスに特化した棚、自主製作の本を置いている人など個性豊かです。
お風呂上りの利用客が立ち読みないし購入することができます。銭湯側としては今コロナで集客が減っている中で、安定的に収入を得ることもできる。また、西小山では駅ナカの書店が3年前に閉店してしまい、今は商店街に1店舗だけ。このフロナカ書店街が新たな書店の形として地域に根付いていくことが期待されます。
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