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11月20日(日)放送後記

北口正人さん(Part 2)

1961年大阪生まれ。阪神電鉄入社後、ニューヨークのJAZZクラブ「Blue Note」の日本開業に尽力し、さらにはBillboardを日本に誘致してBillboard Japanの全事業を手掛けた人物です。

JK:マサカの事件がたくさんあったでしょ? この際、ちょっと裏話を聞かせてください!

北口:僕自身は鉄道会社に入ったんですが、28歳の時に今の会社を作って、30数年音楽事業をやっている。

JK:なんでやねん!って感じですよね(^^)なんで阪神電鉄に入ったんですか?

北口:ちょっと話が長くなるんですが、海外に行ってビジネスをしたいと思ってたんです。ただ親が商社に入るのに大反対しまして、地元の鉄道会社を紹介するからって言われて受けに行ったら、落ちたんです。

JK:あらっ、それでどうしたんですか?

北口:どうしようかなと思って、阪神電車の人事に電話して面接を受けさせてもらって。そしたら面接で「あなたは阪神電車に来て何がしたいんですか」って言われて。急に来たから、考えてなかったんです。その前の年にカリフォルニアLIVEを甲子園で見たんですが、それがパッと思い浮かんで、「甲子園で大きいイベントしたいんです」って言ったんです(^^)そしたらその夜に電話がかかってきて、「役員面接に来てください」って。そこからずるずる音楽に引きこまれていったみたいな感じです。

出水:その時の一言を、会社のみなさんがレールに乗せてくれたんですね。

北口:多分ね、そういう現場要員が欲しかったんだと思います。本社で経理とか総務をする人ではなく。

JK:新しい仕事を開拓する人がね。

ピッタリだったんですね! 一番ショックだったことは?

北口:自分の中で一番つながりが深いなと思うのはKool & The Gang。70年代ディスコも含めて一世を風靡した人たちですが、リーダーのロバート・クール・ベルとは一番仲良くて、いろいろありましたけど本当にいろんな話をしましたね。僕の中では彼が一番ですね。

JK:どんな風に?

北口:例えば、ドラマーが日本に入れなかったことがあるんです。それでキーボードだった彼が「じゃあ俺がやる」って。昔ドラムをやってたんですよ・・・でもショウはそれなりですよね(^^;)ただ助かったのはね、みんなもその人がドラムを叩けるのをまた見られることに感動してくれた。

出水:いろいろ乗り越えることがあったんですね(^^) 外国で活躍している方や文化的バックグラウンドが違う人を口説いて、信頼を勝ち得る時に大事にしていることは?

北口:例えばBillboard Liveなら、グローバルスタンダードでホスピタリティがちゃんとしているハコだってことが、アーティストからアーティストに伝わるんですよ。

JK:あそこでやった経験が、実績となって広がりますよね。そういう安心感って大きいですよ。十分実績があるから、今なら誰でも呼べるんじゃない?

北口:いやいや。でもこないだデヴィッド・フォスターが来てくれて素晴らしいステージをしてくれました。Billboardはチャートやアワードでも有名ですし、Billboardのブランドはアーティストにとって信頼感がある。

それと日本のBillboard Liveならいい公演ができる、この2つが重なって、アーティストの信頼感を得られているんじゃないかなと思います。

出水:人生において音楽のある時間って大事ですよね。

北口:やっぱり僕たちは、お客さんの思い出つくりをしているというか。Billboard Liveに来てアーティストと握手したりサインもらったりとかいうのもありますが、うちって相席なんですよね。たまたま横で座った人と交際が始まって、うちで結婚式をあげたりとか。

JK:まぁ! そういう出会いもあったんですね! やっぱり音楽で感動すると盛り上がるものね(^^)

コロナ禍でもLIVEは止めない~北口正人さんの画像はこちら >>

出水:コロナ禍はエンターテインメント業界も大変だったと思うんですが、2020年の7月にBillboard Live Yokohamaがオープンしました。世の中の環境も激変している時期でしたが、どんなご苦労がありましたか?

北口:本当は4月にオープンの予定だったんです。音楽史に大きな功績を残して、リスナーだけでなくアーティストからも尊敬を集めるバート・バカラックがオープニングアクトだったんです。それからジェーン・バーキンとかテディ・ライリーとかロバート・グラスパーとか大物がずっと続いていたんですが、全部キャンセルになった(^^;)その時から「コロナはこの後も続く」と言われていたので、ずーっと閉めているわけにもいかず・・・たまたまミーシャさんがやるって言ってくださって、思い切って7月にオープンできた。その時はやっぱり席も減らして。そういう意味では、うちはコロナ禍でもLIVEをやり続けようって決めたんです。

JK:でも、コロナ禍だからっていうのはおかしいけど、日本人のアーティストが出るチャンスもできたわけですよね。

北口:やっぱり僕たちは、多少興行でしんどくてもやり続けようって。僕たちを信頼して支えてくれている人もいるし。大阪なんかはうちしかLIVEやってない時もあったと思います。

出水:それはものすごい覚悟ですね!

北口:でも、来てもらって安心してもらわないといけないので、ちゃんとガイドライン通りにパーテーションをしたり。「Billboard Liveは行っても安心や」と思ってもらえるようにしっかり作りながら継続してやってきて、ようやく明かりが見えてきたという感じです。本当は早くマスクも取って、大声で応援して、大声で踊れるように戻ってほしいですがね。

出水:今後のYokohamaのラインナップを教えてもらえますか?

北口:私がおすすめしたいのは、本当に苦労されてきて、徐々に大きくなってきている川島ケイジ君。彼が今度Billboard Live Yokohamaで1月28日(土)に公演をしてくれることになって。Spotifyなんかで「今人」っていう曲を一度聴いていただきたい。声がいいんですよ。2回公演なんですけど、ぜひお越しいただいてみていただきたいと思います。

JK:川島さんはこの番組にも出てくださって。

「今人」って今の時代にぴったりですよね。

出水:今後、ご自身で新規事業をやりたいというのはありますか?

北口:そうですね、僕はこれから業界にとっていいことだけしたいなと思って、定年までまだすこしあったんですが、社員を辞めたんです。これからやりたいことが2つあって、ひとつは日本のLIVEエンタメ業界を効率的にする。これから若い子がどんどんいなくなるので、運営するのに人材がかかる。効率的に運営できるアリーナを作るサポートをどんどんしていきたい。

JK:LIVE会場ですね!

北口:それから、これから少子高齢化で日本の音楽を組み立てていくのは難しくなっていく。日本のアーティストも海外に出ていこうとしている中で、今までのネットワークを含めてサポートしていきたい。その2つを自分の中で決めています。Billboard Liveっていうハコも、韓国・ジャカルタ・マニラというものがあれば、そのまま安心してまわれるじゃないですか!

JK:手を挙げればみんな寄ってきますよ! 実績があるんだから。一番最初はどこ? 香港?

北口:僕はソウルかなって思ってるんですよ。思ってるだけですが(^^)

JK:思ってることは口に出せば実現しますよ! 期待してるわ。今後、また出てもらいたいアーティストは?

北口:BIllboard Live開業時のアーティストで、Steely Danがいるんですよ。

2人でSteely Danなんですけど、ベースの方が亡くなられてドナルド・フェーゲンだけが残っていて、もう1度ドナルド・フェーゲンのSteely DanをBillboard Liveで聴きたいなと・・・CDの音と一緒なんですよ! そこまで素晴らしい。

JK:それはプロの方にも聴かせたいわね!

OA曲
M. 今人 / 川島ケイジ
M. The First Time Ever I Saw Your Face / Roberta Flack

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