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5月20日(土)放送後記

今週もお聞きいただきありがとうございました。

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「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論
「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論

11時台のゲストコーナー「TOKYOよもやま話」

様々なジャンルから週替わりでゲストをお迎えしるいコーナー。

今日のゲストは、俳優の酒向芳さん。

「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論

「検察側の罪人」や「ガンニバル」などの怪演ぶりで話題となり、最近では「最愛」や「リコカツ」「どうする家康」など様々な話題作に出演している酒向さん。

「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論

役者一本で生活できるようになったのは50歳を過ぎてからだったそうで、演技をする上で色々と試行錯誤してきたそうです。

「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論

酒向:イギリスの演出家だったんですけど。役をいただいて、一生懸命役を演じようとしてたんですね。でも演じている時に「ノン、ノン」って言われて。「その役の向こう側にあなたがいなければ、この役は面白くないんだ」って言われて。それはずいぶんショックでしたよ。

塙:そうだったですね。

酒向:「その役の向こう側に自分がいなければ役は見えてこないんだ。イコール、あなたが見えないんだ」「あなたはどういう人なのか、この役を通じて出しなさい」って言われて。それまでは自分を消すことしか考えてなかったんですよね。

塙:なるほど、なるほど。

土屋:その役になりきる方が良いと思うんですけど、違うんですね?

酒向:なりきるということも「演じる」ということになるかもしれないですけど、なりきるイコール「自分でやりなさい」ってことなんですよ。「自分になりなさい、自分でいいんだよ」っていうことなんですよね。

「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論

塙:それですぐ「わかりました!」ってできるんですか?

酒向:できないんですよ、自分というものを出せないんですね。自分がわからないから、自分がどういう人間なのかっていうのが。ずーっとわかっているつもりでやってはいるんですけれども、どこかに「演技をしよう」と思ってやってるんですね。

土屋:へぇ~。

酒向:だから「自分を出しなさい」って言われて、初めて恥ずかしいんですよ。

土屋:なるほど!

酒向:自分の中の人に見せない所を見せるわけですから。

土屋:じゃあ「自分が何か」っていうのは、何で見つけるんですか?

酒向:自分を探さなきゃいけないんですよ。自分がどういう人間かっていうのを探し始めたんですね。俺はどういう人間なんだと。

塙:探したら見つかるもんなんですか?

酒向:やっぱり「出す」しかないですね。『ガンニバル』で言えば、そういう役柄をいただいたときに、自分のそういう部分ですよね。

土屋:暴れん坊な部分とか?

酒向:私の中にもそういう部分があります。怒る部分とか醜い部分、人を恨むとか妬むとか、自分が一番だ!とかそういうものは、人間誰しも持っていますけども、普通の人はやっぱり出しませんからね。

土屋:そうですね。

酒向:でも、一般の作品を見る方は、そこが見たいんですよね。あなたのそこが見たいんだっていう。我々が出さない限りは、それはなんでしょうかね?「借りてきた演技」ということになってしまう。

塙:なるほど。

「演じるのではなく、出す」俳優・酒向芳の演技論
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