今日は、かなりピンポイントな話題、「群馬県」のお話です。

群馬県の名所や名産品を題材にした「上毛かるた」、ご存じでしょうか?群馬県民にとっては、知らない人はいないメジャーな存在ですが、この「上毛かるた」のある札が、今年30年ぶりに変更されたそうです。

人口減で読み札が「二百万」から「百九十万」に

詳しいお話を、群馬県・文化振興課の、田村京子さんに伺いました。

群馬県・文化振興課 田村京子さん

上毛かるたの「ち」の札ですね、「ち」の読み札が、「力あわせる二百万」から「力あわせる百九十万」に改訂をされました。

札は全部で44枚あるんですけれども、群馬県の歴史、自然、人物、産業などが読まれているかるたです。

発行当時はですね、戦後まもない昭和22年に初版が発行されまして、絵札や読み札は、基本的には原則変更しないんですけれども、「力あわせる二百万」については、これまでも県の人口に合わせて変更をしてきた経緯があります。

今回、県の人口がですね、190万を下回ったことから、30年ぶりの改定を行う、というところになります。

「上毛かるた」30年ぶりの改訂から見る、日本の人口減少の画像はこちら >>
<群馬の郷土かるた「上毛かるた」>
「上毛かるた」30年ぶりの改訂から見る、日本の人口減少
<44枚の札が入っています>
「上毛かるた」30年ぶりの改訂から見る、日本の人口減少
<「力あわせる二百万」の札。こちらは、これまでの版なので、まだ「二百万」のまま>

上毛かるたは、「イロハニホヘト」の順番で、「読み札」と「絵札」が44枚ずつ揃っています。

例えば、「い=伊香保温泉 日本の名湯」、「ね=ねぎとこんにゃく 下仁田名産」、「つ=鶴舞う形の群馬県」など、群馬県にちなんだ札が並んでいます。

その中で今回、群馬の人口を表した「ち」の札である、「力あわせる二百万」が、「力あわせる百九十万」に下方修正されました。

元々、「人口に合わせて変えていきましょう」と、県内で取り決めがあったそうで、初版では「160万」、1985年には「190万」、93年には「200万」と、これまでずっと増えてきていたんですが、人口減少を反映させたのは、今回が初めてだそうです。

高校生「かるたやってる人にとっては大事件」

では、群馬県の方々は、「ち」の札が変更されたことを知っているのか?群馬で聞いてきました。

50代(男性)

(ちの札が変わるのって、ご存知ですか?)え、知らない。あ、減るんですか、あ、そうですか。やりました、やりましたよ。

日曜日必ず公民館に集まって練習やったんですよ、ずーっとかるたの練習。「分福茶釜の茂林寺」だとか、「伊香保温泉…何だっけな、あ、日本の名湯」!こういう時代の背景でしょ?だからしょうがないっすよね…。

18歳(女性)

(力あわせる?)200万!(190万になります)え、なんで?リズム悪い、語呂悪いよ語呂悪い。「ち」と「つ」は、めっちゃ目立つんで、狙うんですよ皆。かるたやってる人にとっては、めっちゃ大事件じゃない?不満垂れるぞ、絶対。

40代(男性)

新聞に出てましたよね。

200万の時代でずっと私やってましたね。実勢を反映するのはいいことかなと。それも勉強かなということで、はい。

83歳(女性)

百何十万になったんだよね。減っちゃったんだよね。「鶴舞う形の群馬県」とか、学校でもやってたし、それは群馬県人だから覚えてる。

ここは城町(しろまち)っていう町内だけど、6~7人しかいないんじゃない子供は。昔は子供がいっぱいいたからね…。

「上毛かるた」30年ぶりの改訂から見る、日本の人口減少
<館林市で聞きました>

子どもが減って、「かるた大会」を開かなくなった子ども会も増えているそうです。ただ、お話を聞いた10代~80代の方々は、一人残らず暗唱できていて、やはり群馬県民に親しまれていたのは、たしかでした。

でも、語呂の悪さを気にしている人も多かったですが、ちょうどこの2月、小中学生を対象にした「上毛かるた」の県大会が予定されているんですが、主催者の「子ども会育成連合会」によると、今回に限っては「二百万」の札を使うそうです。

人手不足をデジタルで補う。
一方で外国人は増えている

慣れている「二百万」から、来年度以降は「百九十万」に切り替えるかもしれないということでしたが、どんどん減っていく人口に対応するため、県内の自治体では、まさにいま、大改革が行われていました。

館林市役所の、政策企画部・企画課の、笈沼 世志明さんのお話。

館林市役所・政策企画部企画課 笈沼 世志明さん

窓口改革=「行かない窓口」ということで、オンライン化できるような行政手続きというのを増やすような動きも取り組んでおります。

具体的には、今年度から、市の公式ラインという、館林市独自のラインというのを活用して、道路の穴が開いている補修のようなもの、看板が倒れてるというようなものも、今までは電話で「どこどこのものが、どんな感じで倒れてるよ」なんていうのがあったんですが、今は写真付きで24時間受け付けできるといったものですとか、あと最近ですと帯状疱疹のワクチンも公式ラインで申し込みをすれば、来庁せずに申請ができるといったものがございます。

やっぱり生まれる方に対して亡くなる方が多いので、人口が本市も減っているんですが、「転入者」というところは、外国人の働き手も含めて結構増えてる状況でう。やはり外国人の人材が増えるということは、通訳ですとか、そういったものもデジタル技術でカバーしていかなければいけない、という認識です。

館林市によると、外国人の割合は昨年4・16%と過去最高で、市全体の人口が減っている一方で、外国人の数は増えてる状況です。総務省の統計では、昨年の日本人の人口は、14年連続で減少しているんですが、外国人の数は全都道府県で増えて、300万人と過去最多だったそうです。

外国人が経済や社会の担い手になっている中、人口減少を前提とした社会を作っていく必要がありそうです。