最近地震が多いですが、きょうは地震とともに心配な、「津波」に備えるための様々なグッズや知恵を取材しました。

津波で流された人の早期発見・救出

まずは、特殊なライフジャケットを開発中の、宮城県・南三陸町に住む、高橋 一清さんに聞きました。

伝承館「南三陸311メモリアル」顧問 高橋 一清さん
ベスト型のライフジャケットになるんですけど、その頭の部分にGPSが埋め込まれていて、それをXY座標で、どこにいるかという位置が、情報として届くんですね。

水に入ると自動的にスイッチが入るようになっていて、それの耐久性が「72時間」ですね。

相当細かいところまで出るので、船が本当に近くまで(行って)、場所がわかる。

どこにいるかを「目視」で空から探すって難しいんですよね、やっぱりかなり。

それを、初めから目的地を明確にして、そこに飛んでいくんだから、最短時間で行けるわけですよ、救助に。

そしたらより多くを助けられる。そこがもう全く違う、GPSがあるなしでは。

ベスト型の救命胴衣。頭を守るためにフードが付いていて、フードの部分にGPSが埋め込まれています。

これを着用していれば、50キロ離れた場所でも位置情報が把握でき、万が一流されても、早い救助につなげることができます。

でも、どうして、このようなライフジャケットを開発したのか?

きっかけは、東日本大震災。高橋さんは当時、南三陸町の職員で、町役場にも津波が押し寄せて、逃げ遅れた同僚を何人も失くされたそうです。

東日本大震災では1万5000人以上の方が亡くなっていて、その9割以上が、溺れて亡くなったとされていますが、そうした中で「何とか生存率を高められる方法はないか」と考えて形にしたのが、このライフジャケット。

来週、実際に海に出て3回目の実験を行い、来月の完成を目指して動いているようで、将来的には病院の看護師さんや高齢者施設の職員、また、そうした施設の利用者などに、活用してもらいたいと話していました。

津波のドローン映像配信

そしてもう一つ、今日4月11日から始まる、画期的なシステムもありました。會澤高圧コンクリート株式会社の常務取締役、宮田 達也さんに伺いました。

會澤高圧コンクリート株式会社・常務取締役 宮田 達也さん
今日から、福島県浪江町で、津波の映像をスマホへライブ配信する「防災アプリ」がスタートしました。

巨大地震が起こったときに、地震波を感知して、「ドローン」が自動的に飛び立ちます。

そしてドローンは、海岸のライブ映像をカメラで撮影をして、それを個人のスマホへ、ライブで配信する

「自分は大丈夫であろう」という気持ちでどうしても避難が遅れてしまう人を、「避難しなきゃ」と思わせるためには、やっぱり我が町の映像が届いてなきゃ駄目だと思うんですね。

家のすぐ近くの海岸の波がどんどん高くなっていく、波が超えてくる映像を見るから、逃げる。

映像があるとないとでは、そこにいらっしゃる方々の生存確率が大きく変わると思ってます。

津波に備える画期的な新技術の画像はこちら >>

<ザ・ガーディアンのドローン>

浪江町で今日から限定的に始まったシステム、「精密避難支援システム The Guardian(ザ・ガーディアン) 」。アンドロイドを対象にしたスマホアプリで、現状iPhoneは対象外。今後使えるように開発を進めるということです。

使い方は、

  • まず、大きな地震が起こったときに、全国瞬時警報システム「Jアラート」の津波警報が発表されます。
  • すると、「津波が来ます」という通知が、アプリを通してスマホに届きます。
  • その通知をタップすると、このアプリが立ち上がり、ドローンのライブ映像がスマホに映し出されます。
    (ドローン自体は、格納庫から自動で飛び立つ。高さ100メートルから、海の様子を撮影し続ける)
  • 大きな災害のときは、自分は大丈夫、と思ってしまいがちですが、解決策の一つとして映像配信を試みまたそうです。

    驚異のスタミナ「エンジンドローン」

    しかもこのドローン、なんと「6時間」飛び続けて、映像を送り続ける仕組みになっているそうです。6時間も飛び続けるのにはワケがあるそうで、再び、會澤高圧コンクリートの宮田さんに聞きました。

    會澤高圧コンクリート株式会社・常務取締役 宮田 達也さん
    津波って地震発生から1分もしないうちに来る場合もあれば、東日本大震災のときの浪江町は40分後に来ました。

    そして、第一波が最大津波ではない可能性もあるわけですよね。

    ただですね、一般的に皆さんがよく知るドローンっていうのは、バッテリーで飛んでいるドローンで、20~30分しか飛べないんですよ。20分して帰ってきたらまた充電しなきゃいけない。

    で、今回のドローンは「エンジンドローン」です。ガソリンエンジンで、直接プロペラを回して飛ぶドローンで、イメージとしては、バイクにプロペラが付いて飛んでる感じですね。

    ただ、空を飛ぶものなので、いくらでもガソリンを積めるわけじゃない。

    残された容量の中でガソリンを積んで、そのガソリンで飛び続けられる時間が「6時間」。

    驚異的なスタミナのエンジンを積んだ「エンジンドローン」を、世界で初めて開発したそうです。

    プロペラが4つ搭載されていて、広げると端から端まで3メートルと、大型。

    元々コンクリートメーカーなので、山奥のダムや橋の補修に、スタミナのあるドローンを開発していたそうですが、この技術を「津波」の監視にも応用しています。

    今後、「南海トラフ地震」など、大きな地震が心配されていますが、とにかく津波は他人事と思わず、きちんと危機感を持っておくことが大切です。