5月18日(土)『井上貴博 土曜日の「あ」』代打パートナーの今村翔吾さんの「ほんまる」プロジェクトを佐藤可士和さんが一緒に手掛けたということで、、、

※『ほんまる神保町』は、本棚を借りた人(棚主)がそれぞれのおすすめの本、自分で作った本などを販売する新しい書店の形態“シェア型書店”

佐藤可士和「ブランドはロゴを作って終わりではなくて、そこから...の画像はこちら >>

SMAP、楽天、ユニクロ、セブンイレブン、くら寿司など、様々なデザイン、プロジェクトを手掛けたクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんがゲストにお越し頂きました。

佐藤可士和「ブランドはロゴを作って終わりではなくて、そこからスタート」

答えは、本当は目の前にあるが、見えていないだけ

井上:ロゴを作っているのは我が子のような感覚?

佐藤:我が子のような感じかもしれません。でもロゴだけ作ってるんじゃないので、ブランド全体を見ているので、ユニクロでも、くら寿司もセブンでもチェックして回ってるんです。

今村:そう、僕これ聞いて一番驚いたのは、ブランドはロゴを作ったところが終わりじゃなくてそこがスタートだと(笑)守っていくことによるということで、、可士和さん、社長に電球切れてるよとかってLINEするんですよね?(笑)

佐藤:はいはい、こないだパリのユニクロ見て、ちょっと看板の電気切れたから「電球、切れてます!」みたいな。

井上:それを社長に直接?

佐藤:そう

今村:現場、嫌やな!怖ぃ!

井上:チェックしていく感覚なんですか?

佐藤:チェックしに行ってます。広告物とかも見ているので、自分がディレクションしているものが、世界中で展開してるから、正確にできてるかとか、綺麗に展示されてるかとか、ロゴがちゃんと運用されてるかとか。

井上:ロゴはどういうイメージから湧いてくる?

佐藤:ブランド全体のロゴだけ考えてるというよりも、何か課題があるわけですよね。何かが足りないから頼んでくださるので、まずお話を聞くんです。そこが結構長く、今村さんとやったのはすごい早かったんですけど(笑)ほとんど最初はずっとお話を聞いてる、ヒアリングの時間がすごい長いんです。

そこから何してったらいいかっていうのをだんだん考えて、整理してるような感じですよね。

井上:佐藤可士和さんの中で何か見えてくるものがあるんですか?

佐藤:見えてきます。大体、答えみたいなのは、本当は目の前にあるんだけど、目の前にあるんだけど見えないみたいな

井上:えーなにそれ。

佐藤:ある感触だけがあるんだけど、見えないんですよみんな見えてないんだけど、何かこう話をずっと聞いていろいろ物事を整理して、何かコンセプトみたいなのを見つけると、光が当たるみたいな感じ。そうすると、バーンって何となくやるべきことが見えてくるみたいな。そういうふうに仕事してます。

佐藤可士和「ブランドはロゴを作って終わりではなくて、そこからスタート」

アイドルから次のステージに行こうとする『SMAP』を色でブランド化

井上:具体的な話も伺ってもいいですか?例えばSMAPのロゴとかユニクロのロゴは?

佐藤:SMAPはね別にロゴを作ろうと思ったんじゃないんですけども当時はもう彼らデビューしてちょうど10年目ぐらいでもう絶頂期ってでも年齢的にもちょうど30を超えたぐらいで、いわゆるアイドルから次のステージへみたいな。そういうタイミングだったんですよ。

井上:どういうオファーの仕方で来るんですか?

佐藤:ちょうど独立して一発目の仕事で、その前に木村拓哉さんとテレビCMをやってた。という関係もあって、SMAP全体の仕事をしてほしいと言われて、どういう?どの辺やればいいんですか?と聞いたら「いろいろ全部」みたいな。

井上・今村:いろいろ全部(笑)

佐藤:具体的に言うと、僕がやっていたのは、アルバムを出して、コンサートやって、それでDVDが出ていくとかそういう一連の音楽の活動のところをずっとサポートしてたんですけど、だからそのSMAPの次のステージにちょうど行きたいと。そうするとメンバーが今までジャケットだと全部写真で出てたんですけどそうじゃなくて、もうちょっとSMAPっていうものをブランド化していった方がいいと思って、それでメンバーの写真を使わないで、色だけでジャケットを作るとか。そういうふうにして考えていました。

井上・今村:へー

佐藤:あと、いろいろ街で、今はスマホがありますけどまだスマホがなかったから、バズるみたいなことを当時考えて、車に全部カバーをかけたりとか、自動販売機を町中に置いたりとか、そういうハプニング的なことを考えて、それをテレビとかスポーツ新聞とかで取材していただいて全国に拡大するみたいなことを戦略的に考えていた。

佐藤可士和「ブランドはロゴを作って終わりではなくて、そこからスタート」

アイディアの枯渇はない。そこにあるものを際立たせるだけ

井上:インプットってどうされてるんですか?アイディアの枯渇は?

佐藤:枯渇は全然しないです。なんて言うかな、僕が作るわけじゃないって思ってるというか、目の前の何かがあるものを引き出そうと思ってるから、そのクライアントの例えば、「ほんまる」だったら今村さんがやりたいことを引き出す。SMAPだったらSMAPがやりたいことを引き出す、ユニクロがやりたいことを掴むみたいな感じで、僕が作るわけじゃないっていうか。

井上:なるほど。

佐藤:だから別にアイディアは、絶対、元からあるんですよ。

井上:依頼主がもう持ってて、でも気づいてないから、気づかせて具現化してあげるということ?

佐藤:うまく見えてない。元々持ってるんだけど、うまく見せれてないとか、自分で気付けてないとか。

井上:カウンセリングみたいな感じですね。

佐藤:でも結構それに近いです。それでヒアリングするんですよ、ずっと。

だから一番、本当は自分の強みって、人間も同じだと思うんですけど、自分の得意なことってあまりにも当たり前だと思ってて、強みだと思わないんです。だけど、それを客観的に見て、それすごいじゃないですかみたいな。それでいいんですか?そんなの当たり前じゃないんですか?という声に対して、いや当たり前なのは世界中でやってる人いないですよねみたいな。それをボンと際立たせましょうみたいな。

今村:そのマジックを「ほんまる」で体感したのよ(笑)

佐藤可士和「ブランドはロゴを作って終わりではなくて、そこからスタート」