「私たちの未来は、私たちで作る!」
サステバ」は、あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、
もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。

今回もリスナーの方から届いたモヤモヤを紹介しました!

今、チェーンの飲食店でバイトしているのですが、閉店後の締め作業中、ほぼ毎回 1キロ以上のライスを廃棄処分しています。



令和の米騒動と騒がれる今、そして私が無類のお米好きということもあり心が痛く、農家さんの顔や捨てられる1粒1粒から「捨てないでー!まだ食べられるよー!」という声まで聞こえます。

これはルール違反となってしまいますが、 店長がいない日は何人かで分け合って持ち帰ることもありますが、きっとバレたら怒られると思います。
もちろんマニュアルがあって チェーン店というものは品質を保てていると思いますが、必ず見直せる部分もあると思います!みなさんどう思いますか?

小泉:これはモヤモヤすると思う。

大石:1キロって、結構な量でしょ?

上村:そうですよ。

大石:だって、もっと大きなホテルの宴会場とかだったら、もっと出るんでしょ?

小泉:ホテルとかだと、バイキングとかがあったりするじゃないですか。たくさん並べておかないといけないから、余っちゃった時にどうされているのか気になったりしますよね。私が子どもの頃とかは、お茶碗にご飯を1粒残したら、親に「作った人に申し訳ないから食べなさい」って言われたんです。

大石:うん。さえちゃんの頃はどうでしたか?

上村:私も親に言われました。なので、食べた後のお茶碗を「綺麗だね」って褒められることがあります。

小泉:綺麗に食べないと。いまだに、何粒か残すのもありえない感じがする。

どうしたら解決できますかね。もちろん、衛生上の問題とかが決まっているとは思うけれども。お客さんには出せないけど、従業員がいただいていくのはルールでOKなんじゃないかと思ったりしますけど。

大石:このお店ではダメなんですよね。

小泉:お店によってルールは違うんでしょうけど、捨てるくらいなら…っていう。毎回、小分けに冷凍して賄いに使うとか、冷凍したものなら持って帰っていいとか。

上村:環境省の調査では、日本だけでフードロス、食品ロスは1 年間に 472 万トンあるそうです。この 10 年ほどでフードロスの量は減っていますが、 国民一人当たりに換算すると、「毎日おにぎり 1 個分の食べ物が捨てられている」という計算になります。

小泉:うーん。

上村:物価も上がり続けていますが、食材をムダなく使いきることに取り組んでもいいかもしれません。
たとえば、今年の 4 月には、 小嶋絵美『捨てないレシピ』(サンクチュアリ出版)という本が出版されています。

小泉:これですね~(手元に書籍)

上村:はい!これまで捨てるのが当たり前だった、食材の皮や種、芯、葉などを ちょっとした工夫で“もう一品”にするアイデアが、190 品、紹介されています。


たとえば・・・
たまねぎの皮 → ポリフェノールたっぷりのパウダーに
いちごのヘタ → ドライパセリ風に

大石:へー!

上村:食材を捨てない:皮・種・骨まで使い切る
栄養を捨てない:皮に含まれるポリフェノールなどの成分を活かす
ゴミを捨てない:食品ロスを減らし、燃えるゴミも少なく
お金を捨てない:家計にもやさしい、節約レシピ
…ということです。

小泉:これ、すごくイラストも綺麗に描かれていて読みやすい編集になっているから買おうと思いました。私はフェルトみたいな生地でできたコンポストを買ってみたんです。いつもそこに使わなかった部分だとか、猫ちゃんのご飯とかも全部食べてくれない時とかはどんどん入れて堆肥を育てているんです。

大石:おー。

小泉:植物を育てるのと同じような気分になりますね。どうやったらいい土に育つんだろう、みたいな感じで。

大石:どれくらいの大きさなんですか?

小泉:小さななものから、バケツくらいの大きさのもある。小さいものならやりやすいかもしれないですよね。

上村:大きい、場所をとるイメージがありました。

小泉:全然。堆肥を上手に育てられるような粉があって、それを混ぜたりして。

大石:育ててるんですね。

小泉:そうです!どうなることやら。

大石:楽しみですね。育てて、最後はどうなるんですか?

小泉:最後は植木鉢とか、植物を育てる時に使う感じになるんです。

大石:なるほど。

小泉:この番組でも、結構紹介してきましたよね。夜のパン屋さんとか…

上村:はい。サステバ第 44 回で紹介した「夜のパン屋さん」。

小泉:売れ残ってしまったパンを引き取ってセレクトショップのようにして夜、場所を借りて、それがビッグイシュー基金に運営している。

上村:東京都内 4 か所で定期的にオープンしています。

小泉:あとは「TABETE」もありましたよね。

上村:飲食店やお惣菜のお店などが、閉店前に売れ残ってしまいそうな食事をTABETEで出品します。

アプリを使っている人は近くのお店を探して、その食事を買って、“レスキュー”することができる仕組みです。こういった仕組みを「フードシェアリング」と呼びます。

小泉:マッチングみたいなことですよね。こういうのも、もうちょっとみんなが認知してもらいたい。割引とかされて、家計も助かるだろうから。一人暮らしの人も、退社時に電車の中とかでみて買いに行けたりしたら、いいシステムだと思います。

北海道・RISING SUN ROCK FESTIVAL
会場で行われるゴミの「13分別」!


番組後半は北海道の野外音楽フェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL」をピックアップ!
会場内にテントを張って「泊まりがけ」で楽しめることが特徴の一つです。豊かな自然に囲まれた会場の中、キャンプをしながらライブを楽しめる贅沢な夏フェス。
「サステバ」が注目したいのは、会場で捨てるゴミの分別数。 大規模なフェスの中では前代未聞の多さ「13 分別」となっています。「ezorock」代表・草野竹史さんにお話を伺いました♪

ライジングサンロックフェスティバルでは、長年ゴミの 13 分別に取り組んでいます。

ぼくたちは「史上最強ゴミの 13 分別」、と言っているんですが、こんなに分けて行なっているフェスティバルはとても珍しいと言われています。


この「13」という数字も、2004 年から行なっていまして、 長い間活動していく中で、来場者のみなさんにだいぶ浸透されてきています。

みなさんキャンプしながら音楽を楽しんでいるわけですが、 キャンプしているテントの中に、13 分別の分別サインを来場者のみなさんが自主的に印刷して、自分たちで 13 に分けて、分けたものを僕たちのゴミ箱まで持っていただく方が、けっこう数多くいらっしゃっている状況になっています。

そういう方々も、なんでやっているかというと、「ライジングが、この石狩の大地で長く続いてほしいんだ」、「そのためには、自分たちもこういうことをやらなければならないんだ」と言ってくれているのは、非常に浸透してきているなと感じていますね。

北海道の中でいうとですね、ある意味、「ライジングでやったのだから、 ほかのお祭りやイベントでもゴミのことをちゃんとできるんじゃないか」という広がり方は、この 20 年でしてきたと思いますね。

あのフェスティバルで、あんな大変な場所で、しかも13 もやっているんだから、と。
フェスティバルから、ほかのお祭りやイベントに広がってきたということは、日常にどんどん近づいているんじゃないかと思います。

それを日常に持って帰った時に「なんで分けないといけないといけないのかな」とか、「そもそも、分別をする背景には何があるんだろう」と考えていただくきっかけは生まれていると思います。
そこから、今の社会のつながりとか、「なんでゴミが出るのかな」、「大量生産ってなんだろう」みたいな、そういったところへのつながりはたくさん生まれているのかなと思いますね。

小泉:素晴らしい!ミュージシャンの中でも、RISING SUNは行ってみたいフェスなんです。

大石:そうなんですか。

小泉:私は一度だけ出たことがあります。こういう意識って、好きなものとプラスで情報が入ってくると身につく気がしませんか?

上村:たしかに。

小泉:ロックが好き、音楽が好き、好きなアーティストが歌っている。このアーティストたちが毎年来られるように、この場所をみんなで綺麗にしないといけない、って草野さんがいうように社会とつながるいいきっかけ。そういう考え方は他のことにも派生していく気がして、とてもいい取り組みだと思いました。

大石:そうですね。

小泉:燃やせるゴミ、生ゴミ、ペットボトル、プラスチック、燃えないゴミ、紙コップ、わりばし、炭、ダンボール、乾電池、危険物、金属、油。
…そうか、キャンプもやるから油も出るんだ。

大石:炭とかもね。

上村:わりばし、燃えるゴミでいいのかと思ったら、別なんですね。

小泉:わりばしは、紙に再生できるんですよね。製紙会社でもわりばしを受け付けているところがあります。

上村:そうなんですね。

小泉:ドラマとかで大量のわりばしが出るじゃないですか。これを集めてそこに送りたいと思ったけど、自分が出ながら呼びかけるのは難しいなと思ったりするのですが…

大石:でも、「わりばし」って書いてくれてたらそこに入れやすくなりますよね。

上村:それで、「なんで分けるのかな?」から、どうやって再生されるのか気になりますもんね。

小泉:そう。

上村:RISING SUN ROCK FESTIVALの会場で分別したものは、どんな資源に生まれ変わるか。
代表的なものでは、近くの牧場と連携して、生ゴミは全て「堆肥」として生まれ変わっているそうです。
その堆肥の一部を活用して、「ezorock」は、オーガニックのジャガイモを栽培しています。それを、翌年の来場者に無料で配布する、という取り組みをおこなっています。

小泉:かっこいい!

上村:去年の会場の生ゴミから生まれ変わったジャガイモを「還元する」というアクション。名前は、「おかえりジャガイモ」。2008 年からおこなっていて、名物にもなっています。

小泉:素敵ですね。北海道らしいというか、おおらかさも感じられたりして。でっかいど~って感じです。笑

大石:(笑)

上村:そして、ゴミの13分別という多さに戸惑う来場者もいるんだそうです。そこで活躍するのが、200 人のボランティア。ごみステーションの後ろで、来場者に分別をナビゲート。音楽に合わせて、踊りながら分別をナビゲートしているボランティアも多いそうです。
主催者と来場者という関係には、どうしても利害関係が発生しますが、どちらの立場でもないボランティアの存在が、「ピースキーパー」の役割も果たしているとも言えそうです。

小泉:なるほど、いいですね。

上村:そして、「ezorock」の代表・草野さんに、これまでの 20 年以上の活動のなかで「特に心に残っている出来事」について伺いました。
草野さんが挙げたのは、2018 年に起きた「北海道胆振東部地震」のことでした。北海道で初めて観測史上最大となる震度 7が記録された大地震です。
この時、「RISING SUN ROCK FESTIVAL」でボランティアを経験したたくさんのメンバーが被災地に集まって、「ボランティアコーディネーター」として力を発揮してくれたそうです。

大石:ここから育っている、っていうことですね。

小泉:そうですね。やっぱり経験は本当に、無駄になることはないんだろうなって思います。こうやって、楽しい場所で身についたことが困っている現場で発揮できるっていうのは、すごくいいことですよね。

大石:めっちゃいいこと!ピースキーパー、やってみたいもん。

小泉:向いてるんじゃない?

大石
本当?笑

小泉:結構、全国のフェスを色々行くんですけど、そのフェスごとにムードが違くて。他のところでは、配布しているゴミ袋に忌野清志郎さんの似顔絵が描いてあって。そうすると、みんな頑張ってゴミを拾ってくれる。

大石:そういうことか!

小泉:みんな、色々なことを試しているんでしょうけど、この13分別っていうのは他のところでも、全国的に広まったら素敵だなと思いますね。

(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)

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