覇権国家・中国の動向が、東アジア情勢に緊張感を生んでいる。



「今世紀に入り、中国は米国に対抗するために軍事力の増強に余念がない。

同時に、“一つの中国”を旗印に、台湾への圧力も増しています」(全国紙国際部記者)



台湾有事が勃発すれば

 仮に「台湾有事」が勃発すれば、米国はもちろん、日本も無関係ではいられない。その際、重要なのが、空母の運用なのだという。



「ざっくり言えば、空母は“動く航空基地”。航空戦力を攻撃目標の近くまで運ぶことで、機動力は格段に上がります。真珠湾攻撃で旧日本軍が米軍に大打撃を与えたことで、この用兵法は一気に主流になりました」(軍事専門誌記者)



 つまり、空母は、「他国に攻め入るための巨大兵器」とも言えるのだ。



「中国は、12年に初の空母『遼寧』を就役させて以降、現在は4隻目となる空母を建造中です。

新艦は動力に原子力を採用するとの情報もあります」(前同)



日本の安全保障に新たな脅威

 それらは日本の安全保障にとって、新たな脅威となっているという。



「近年、中国は南西諸島から太平洋へと、武装した海警船による領海侵入を繰り返しています。万が一、中国が空母で我が国の南西諸島などの島しょ部を攻撃した場合、那覇基地から飛び立つ日本は絶対的に不利になります」(同)




同乗した軍事ジャーナリスト激白

 ただ、日本政府も、手をこまねいているだけではない。4月8日、呉基地で空母用に改修された海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦『かが』が、報道陣に公開されたのだ。



 同艦が就役した翌年の2018年に、3か月にわたり『かが』に同乗し、訓練を取材した軍事ジャーナリストの菊池雅之氏がこう言う。



「甲板を台形から長方形に改修したんですが、これは米国製戦闘機のF-35Bが離着陸できるようにするため。

ヘリなら14機搭載できましたが、F-35Bは、おそらく10機くらい載せられると思われます」



 F-35Bはステルス性と短距離離着陸性能に優れ、速さもマッハ1・2。すでに西側9か国が制式採用している、最新鋭戦闘機だ。



「そもそもヘリを載せる護衛艦を造った時点で、空母化を考えていたと思います。



アメリカの「ジョージ・ワシントン」

 ただ、85機の戦闘機を載せられる米空母『ジョージ・ワシントン』に比べると、『かが』は軽空母です。私が取材した訓練には、陸上自衛隊の水陸機動団も参加していましたので、島しょ部の防衛がメインの日本は、強襲揚陸艦としての運用も想定しているのだと思います」(前同)



 ただし、この空母『かが』が実際に就航するのは、もう少し先になるようだ。



「弾薬庫など、内部の区画変更が残っています。

おそらく、2026年か27年の3月には就航できるんじゃないでしょうか」(同)



 終戦から約80年。「日の丸空母」が再び誕生する。