テレビや映画に出るスター。ある日突然無名の新人が今日から急にスターに、なんていうシンデレラストーリーは現在ほぼありません。
目の肥えた現代、映画やドラマに替わる娯楽も多く、俳優・女優陣の実力が伴わないと、視聴率に繋がらないのです。現在人気の主演を張っている俳優さんたちも過去にさまざまな作品に出演し、下積みを積んできました。

■え?あの人があんな役で出ていたの?バラエティで大活躍中の酒井敏也さんは『セーラー服と機関銃』にチンピラ役で出演。俳優さんだから当たり前なのですが、俳優さんをしている姿にちょっとびっくりです。ちょっとした役では、『カバチタレ!』ではコンビニ店員役で妻夫木聡さん、『踊る大捜査線』では水川あさみさんが被害者役で出演されていました。向井理さんは『レガッタ』『白夜行』にチョイ役で出演後、『のだめカンタービレ』に出演しています。のだめではそれなりに重要な役でしたが、今とイメージが違うため驚く方も多いようです。

生田斗真さん&風間俊介さんは深夜ドラマ『アキハバラ@DEEP』に主演。知名度こそ決して高くはないものの素晴らしい作品でした。映画や朝ドラで深い演技を見せてくれる風間さん、主演ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』も好評だった生田さんの、はじけた演技やコスプレが見ものです。生田さんは子役時代に『あぐり』にも出演。
実は二人は下積みの長いジャニーズ俳優なのです。

『ウロボロス~この愛こそ、正義。』での刑事役が記憶に新しい滝藤賢一さんはとても下積みの長い俳優さん。『クライマーズ・ハイ』で一定の評価を得てからは、多くの映画やドラマでキーパーソンを演じてきました。大ヒット映画『踊る大捜査線3』などでも結婚詐欺被害にあった中国人役をコミカルに演じています。

映画版『花より男子』は、花沢類役が藤木直人さん、道明寺司役が谷原章介さん、牧野つくしをいじめるセレブ生徒役に藤原紀香さんが出演されています。3人とも知らない人がいないほどの役者さんですが、この作品自体があまり知られていませんよね。谷原さんの道明寺はマンガそっくり。知らずに見たらビックリすること請け合いです。

■新人や子役が出演しやすい特撮や刑事ドラマは次世代俳優の宝庫『魔法戦隊マジレンジャー』のホラン千秋さん、『仮面ライダーBLACK RX』の高畑淳子さんはレギュラーで敵幹部を演じていました。二人ともかなり派手なメイクで今のイメージとは大違いです。

そして、今をときめく綾野剛さん。
CMやドラマで大活躍ですね。『仮面ライダー555』でメインの敵役、芦田愛菜ちゃんの出世作『Mother』で虐待加害者である母親の彼氏役を演じていました。

AKB48大島優子さんは『電磁戦隊メガレンジャー』で敵幹部の変装後の姿を、その後も子役として滝沢秀明さん主演の『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』で4話のメインゲストを担当しています。

『ゴジラvsビオランテ』ではオペレーター役で鈴木京香さんが、『ガメラ』では被害者役で仲間由紀恵さんが出演されています。仲間さんは実は下積みが長く、他にも『踊る大捜査線』で被害者遺族役など、数多くのドラマに出演しています。アイドル出身ながらも実力がしっかりしているからこそ、今の活躍があるのでしょう。

刑事モノ・特撮モノには子役や手の出演も多く、『はぐれ刑事純情派』には子役時代の三浦春馬さん、『相棒』には染谷将太さん、『仮面ライダー龍騎』には志田未来さんが出演しています。また、『踊る~』では、グラビアから演技派女優・MCへと開花した小池栄子さんが補導少女役で出演。小池さんのリアルな演技は必見。再放送は要チェックです。

■学園ドラマの生徒役はブレイク直前俳優の宝庫!子役とは言えない若い俳優さんを抱えている各事務所は、演技経験を積ませるために、若手の逸材を学園ドラマに送り込んできます。主人公だけではなく、メイン生徒も大ブレイクした『ごくせん』の生徒役では、水嶋ヒロさん、上地雄輔さん、松山ケンイチさん、高良健吾さん。
『GTO』に小栗旬さんが出演されていたのは有名ですが、他校の生徒役で玉木宏さんなども出演していました。端役であっても、ドラマ出演の経験を積むことで、次のステップに繋がったのかもしれません。

■売れっ子へのルート 下積み『あまちゃん』で大ブレイクした能年玲奈さん。実は『鍵のかかった部屋』で、佐藤浩市さん演じる弁護士の秘書を演じていました。今より大人っぽい雰囲気なので、ドラマを見ていても気が付かなかった方も多いのではないでしょうか?能年さんは事務所からとても期待されていたため、経験を積ませるための出演でしょう。

『未成年』『闇のパープル・アイ』映画『湘南爆走族』などに出演した浜崎あゆみさん、『あすなろ白書』『悪魔のKISS』の西島秀俊さんなども、本来はこの「期待された人への階段」のルートとしての出演であることは容易に想像できます。しかし、浜崎さんは歌手へと移行、西島さんはアイドル俳優路線を嫌い、事務所を離れ、自らこの王道ルートを離れました。王道を外れた後はかなり苦労されたとは思いますが、その下積みがあってこその、現在の「歌姫 浜崎あゆみ」であり、「演技派俳優 西島秀俊」が生まれたのでしょう。

文/藤原ゆうこ
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