永作博美は“冬の時代”1990年代前半のアイドルトップランナー以前、このコーナーでもご紹介した通り、篠原涼子さんは1990年代前半に活躍した「東京パフォーマンスドール」(初代)のメンバーでした。1994年には小室哲哉さんのプロデュースによる『恋しさと せつなさと 心強さと』がダブルミリオンのヒットを記録したことはよく知られています。また仲間由紀恵さんも一時期、この東京パフォーマンスドールに在籍していました。
そして今や数多くの映画などに主演している永作博美さん。30代以上の人にはよく知られていますが、彼女は1990年代前半に活躍した3人組アイドルグループ・ribbonのメンバーでした。ribbonとして活動中の1994年、連続ドラマ『陽のあたる場所』(フジテレビ系)で本格女優デビュー。その後グループの活動が事実上終了してからは女優業に専念しています。
ribbonは、姉妹的存在のグループ・CoCoや、篠原さんの東京パフォーマンスドールらとともに、“アイドル冬の時代”と言われた1990年代前半のシーンを盛り上げました。
満島ひかりは三浦大知らとともにグループ活動最近では主演ドラマ『トットてれび』が人気に、ドラマ『Woman』『モテキ』や多数の映画に出演し映画賞も多く受賞している満島ひかりさんは、「Folder」、その後「Folder5」のメンバーとして活躍していました。「Folder」は沖縄のスクールの少年少女たちで結成され、1997年にデビュー。メインボーカルは現在ソロアーティストとして活躍する三浦大知さんが務めていました。その7人のメンバー中から女の子メンバー5人で再デビューしたのが「Folder5」。2002年頃まで活動しました。満島さんの主演ドラマ『トットてれび』では、「Folder」時代の仲間・三浦さんと共演を果たしています。
沢尻エリカはデビュー当時に現AKB48小嶋陽菜と共演24時間テレビ内のスペシャルドラマ『盲目のヨシノリ先生 ~光を失って心が見えた~』での感動的な熱演も記憶に新しい沢尻エリカさん。1999年に所属事務所のオーディションに合格し、その直後、当時の所属事務所の新人タレントたちが出演したバラエティ番組『Harajukuロンチャーズ』(BS朝日)に出演していました。そのメンバーの中には現在AKB48のメンバーとして活躍する小嶋陽菜さんの姿も。Harajukuロンチャーズは番組のテーマ曲を歌っていたものの、歌手活動をメインとするアイドルグループではなく、出演者の新人タレントたちの“総称”のような意味合いでした。
村川絵梨は朝ドラ時まで4人組グループのメンバーとして活躍NHK連続テレビ小説『風のハルカ』(2006年)のヒロイン役でブレイクした村川絵梨さん。
最近では、ジブリアニメの映画『思い出のマーニー』で主人公役の声優を務めた高月沙良さんは、「bump.y」のメンバーとして、女優の桜庭ななみさんらとともに活躍。2010年から2013年まで7枚のシングルをリリースしています。結成時すでに女優として人気だった桜庭さんをはじめ、全員が女優活動をしていて、“アクトレス・シンガー”をコンセプトにしていました。
現在のアイドルの中にも“未来の人気女優”が隠れているかも!?今回紹介した人の大半はアイドルグループが活動のスタート。10代前半から活動している人が多く、若いうちから表現者としての感性や人前で表現するということを鍛えられているため、女優としても即戦力になるケースが多いようです。ribbonや篠原涼子さんはアイドル時代にコント番組にもレギュラー出演していましたが、コントを通して、振り切った芝居にチャレンジしたことも演技力の素になったかもしれません。
AKB48グループ出身者のように、アイドルグループ時代の活躍のインパクトが大きい人は、そのイメージを打ち破り、新たに女優としてのイメージを構築していくのに時間がかかりますが、アイドルとしての印象が強すぎなければその点での苦労はありません。
現在、アイドル戦国時代と言われ、さまざまなアイドルグループが活躍しています。
文/田中裕幸