年々増え続ける行き場や身寄りのないホームレスの人々に対し、イギリスでは役所や慈善団体などができる限りのサポートをしており、ホームレスに手を差し伸べる市民も少なくない。ところが今回、ケンブリッジ市内で清掃スタッフがホームレスの所有物を全て廃棄したことで世間の怒りを買った。
英『Metro』や『Cambridge News』が伝えている。

5月10日午後12時半頃、ケンブリッジのマーケット・ヒルで協議会が運営する廃棄物収集車のスタッフが、使用されていない店のドア付近に寝床を作っていたホームレスの所有物を全て廃棄した。その場面は通行人や他のホームレスに目撃されている。

そこを居場所としていたホームレスは偶然にもその場におらず、目撃した人物は「最初はゴミを集めているだけかと思った」という。しかしあたりにゴミ箱は設置されておらず、清掃スタッフはホームレスの寝床や所有物を廃棄するために清掃車を停めたことがわかった。

ホームレスがマットレスとして使っていた段ボールや、寝袋、読んでいたのであろう本など全てをスタッフは清掃車に投げ捨てたのだ。
別のホームレスの男性も目撃しており、『Cambridge News』にこのように話している。

「あそこで寝ていた男性は、戻って来て持ち物が一切なくなっていることに気付いて私に声をかけました。清掃スタッフは彼の処方箋やわずかな衣類も全部捨てていました。彼はあたりを散らかすようなタイプのホームレスではありません。市民から苦情などがあったならば別ですが、今回の清掃スタッフの行為は不公平ではないかと思います。」

清掃課の上司らはこの件に対して「ホームレスがその場にいたなら、持ち物を廃棄することはなかった」と弁明、また市協議会のスポークスマンも「清掃スタッフは、ホームレスがいなかったために捨てられた荷物だと判断したのでしょう」と述べた。しかし市は常にホームレスをケアしていると主張し、次のように語っている。


「我々は街を安全で綺麗に保ち、市民がアクセスしやすい環境を作ることを義務付けられています。しかし同時に、様々な方法で通りにいるホームレスらを救うため様々な努力も行っています。」

スポークスマンによると、ケンブリッジでは年間70万ポンド(約1億200万円)の助成金で、慈善団体や各機関と連携しホームレスを救済しているという。協議会は街からホームレスを減らすために必要な施設や社会福祉サービスの提供をしているが、ホームレスが増え続ける根底にはその個人が抱える精神疾患や薬物乱用といった問題があるようだ。

ニュースを知った人たちからは「ゴミの日にゴミを収集しないこともあるくせに、わざわざホームレスの寝床を片付けるなんて酷い」「ゴミ箱の横に置いてあるゴミ袋は意地でも収集しないくせにこういう嫌がらせはするのか」「すごく意地悪な印象を受ける」「寝床を奪われたから、ちゃんとした施設を提供してもらえるといけど」といった声があがっている。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)