インド南部ケララ州パラカッド地区の小さな村アヤルアー(Ayalur)で2010年2月、当時18歳だったサジーサさん(Sajitha)が夜中に突然姿を消した。
警察らの必死の捜索にもかかわらずサジーサさんは見つからず、村の誰もが「きっと駆け落ちでもして、東部のタミル・ナードゥ州にでも行ってしまったのではないか。もう村に戻ってくることはないだろう」と噂していた。しかし今月8日、サジーサさんの失踪事件は思わぬ展開を迎えた。
実は11年前、サジーサさんは自らの意思で自宅から約500メートル離れた隣人アリンシュヴァティル・ラフマーンさん(Alinchuvattil Rahman、34)のもとに赴き、それ以来ずっと彼の部屋に身を隠していた。アリンシュヴァティルさんは両親と一緒に暮らしていたが、自室に鍵をかけて誰も入れないようにし、家族がサジーサさんの存在に気付くことはなかった。
そんな状態が11年も続いたある日、今度はアリンシュヴァティルさんが自宅から姿を消した。今から約3か月前のことで、両親は34歳になっても身を固めようとしない息子の妻探しに躍起になっていたという。アリンシュヴァティルさんの兄バシールさん(Basheer)は「弟は妻を迎えることに反対しなかったものの、結婚を先延ばしにしていた。そしてある日、両親と喧嘩をし家を出て行ってしまった」と当時を振り返る。
家族がアリンシュヴァティルさんを探すなか、トラック運転手であるバシールさんが今月8日、別の村でバイクに乗っている弟を見かけ、サジーサさんと2人で家を借りていることが発覚した。
アリンシュヴァティルさんとサジーサさんは今から11年前、お互いの家族の宗教が違うことから自分たちの関係を公にしなかった。それどころかサジーサさんの失踪という形をとることで、一緒に暮らすという究極の選択をしたのだった。
バシールさんは「弟は時々、精神が錯乱しているかのような行動をとることがあって、誰かが部屋に入ろうとすると暴力的になった。食事を自室に持ち込んで食べていることもあったよ。昼間はみんな働きに出てしまうから、弟とサジーサは家で2人きりだったんだ」と明かしており、近隣住民の一人は「窓の格子が何本か外されていたよ」と述べている。
まるでロミオとジュリエットのような衝撃的な2人の駆け落ちだが2人に気付く者はなく、サジーサさんは11年間もヘッドフォンを使用し小さなテレビを見るなどして一日のほとんどを過ごしていたという。また洗濯物は部屋干しにし、夜間に用を足す時やアリンシュヴァティルさんの両親が不在の時は窓から外に出ていたようだ。
地元警察によると、サジーサさんは発見後「アリンシュヴァティルさんと一緒に暮らしたい」と希望し、2人は地元の裁判所に出向いて許可をもらったという。
画像は『Daily Star 2021年6月11日付「Teen missing for 10 years was hiding in boyfriend’s room near parents the whole time」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)