ツアーを回るのに必要な費用はどのぐらい?
テニスプロを目指すテニスキッズはたくさんいる。でもテニスプロの実際の状況についてあまり知らないという人も多いのではないだろうか。
【画像】錦織や大坂、フェデラーやナダルらトップ選手たちの主なスポンサー
テニス選手は世界中を旅しながら試合をし、賞金を稼ぐ。当然、旅費や食費、ホテル代などツアーに出ている期間中発生することになる。またコーチを帯同する場合はコーチ費用、よく目にするような恋人をツアーに同伴させる場合はその同伴費用など、その総額は2,000万円から3,000万円と言われている。これらのコストを賞金やスポンサー費用、あるいは自分の資産から賄う。
ツアーコーチを雇うためにはかなりの費用がかかる。それと同時に、ツアーコーチがいることのメリットは選手にとって計り知れず、可能であれば雇いたいというのが本音だろう。1年間ツアーコーチを自分専用に雇うとなると、当然1人分の年収を捻出しなければならない。スポンサー費用から賄える場合もあるが、トップ選手以外はスポンサー費用も限られると予想される。優れた環境を整えるためには、その分費用がかかってしまうのがテニス。個人スポーツなだけに、費用は当然1人で賄わなければならない厳しい世界だ。
JTAランキング一般男子シングルストップ20の平均賞金額は?
JTAランキング一般男子シングルスのトップ20選手が得た賞金額の平均は以下の通り(※ここでの賞金額は国内大会を除いたもので、JTAランキングは2021年第46週付を採用。為替は2021年11月19日付)。
●男子トップ20の平均賞金額:1,624万740円
●錦織を抜いた平均賞金額:1,086万3,313円
国税庁が発表した2020年の平均給与(男性)は532万2,000円であることから、1,000万円以上の賞金があるのはとてもいいように思える。しかし、冒頭で触れたようにテニス選手はツアーに回るだけで莫大なコストが発生することを覚えておきたい。
次に11位から20位の選手と、16位から20位の選手の場合を見てみよう。
●11位~20位の平均賞金額:169万6,721円
●16位~20位の平均賞金額:58万7,143円
この金額を見ると、テニスプロとはいえ賞金だけではまったく生活が成り立たないことがわかる。たとえ日本でトップ20に数えられる素晴らしい選手であってもだ。日本人選手の多くはスポンサー料に助けられてツアーを回れている確率が高いと言えるだろう。
女子トップ20選手の平均賞金額は男子に比べて低い
JTAランキング一般女子シングルストップ20の平均賞金額を見てみよう。JTAランキング1位は土居美咲(ミキハウス)で、土居の世界ランキングは105位となっている(※大坂なおみはJTAランキングの対象外)。男子の場合、錦織と西岡良仁(ミキハウス/同80位)が世界ランキングでトップ100にランクインしているので、世界レベルでみると上位に食い込んでいることになり、やはり女子の平均賞金額は大きく下がる。
●女子トップ20の平均賞金額:965万1,005円
全豪オープン優勝の大坂なおみ、
最終戦に出場した青山修子/柴原瑛菜ペアの賞金額は?
今シーズン世界ランク13位で終了した大坂なおみ(日清食品)は、男女合わせてみてもダントツの賞金額だった。また、ダブルスランキングで自己最高の5位をマークした青山修子(近藤乳業)/柴原瑛菜(橋本総業HD)ペアについては、今季の大活躍と世界ランキングのわりには賞金額が低いようにも感じられる結果となった。
●大坂なおみ:2億6,263万2,561円
●青山修子:4,396万5,310円
●柴原瑛菜:4,651万756円
テニス選手は楽じゃない!
どんなスポーツもトップを目指すのは楽ではないが、テニスにおいては国内でのリーグだけで食べていくことが難しい分、野球やサッカー、バスケットボールと比べて厳しいスポーツであると言える。海外を転戦しながらアスリートとしてベストな状態をつくり続けていくのは、非常にストレスフルであることも想像に難くない。
それでもテニス選手を目指すのであれば、あらゆるネガティブ要素を上回る努力と運と楽観的な思考、そしてプラスαが必要になるだろう。その一つとして、データを味方につけるのも一案だ。戦術に関するデータや選手を育てるうえで参考になる身体的なデータだけでなく、より賢くツアーを回るために経済的な部分におけるデータも今後は必要になってくる可能性がありそうだ。