5大会連続Vの29連勝でパリへ、生涯グランドスラムに挑むシナー


5月26日、「全仏オープン」(フランス・パリ)男子シングルス1回戦が行われ、生涯グランドスラムを懸けて今大会に臨む第1シードのヤニック・シナー(イタリア/世界ランク1位)は、ワイルドカード(主催者推薦)で出場のクレマン・タビュール(フランス/同171位)を6-1,6-3,6-4で破り、好スタートを切った。

【動画】シナー、生涯グランドスラムへ好発進!「全仏オープン」1回戦ハイライト

24歳のシナーは、今季初戦となった全豪オープンではベスト4、続くATP500ドーハではベスト8に終わったものの、それ以降は負けなし。
ATPマスターズ1000インディアンウェルズ、マイアミ、モンテカルロ、マドリード、ローマとサーフェスが変わっても強さを発揮し、5大会連続で優勝。29連勝で7度目の全仏オープンを迎えた。

すでに全豪オープン(2024、2025)、全米オープン(2024)、ウィンブルドン(2025)を制しており、オープン化以降では史上7人目となる生涯グランドスラムの偉業を懸けて今大会に臨むシナー。周囲からは生涯グランドスラム達成やチャンピオンシップポイントを握りながらカルロス・アルカラス(スペイン)に逆転で敗れた昨年の雪辱へ期待がかかるが、王者は冷静に足元を見つめている。

超過密日程による肉体疲労が懸念される中、実家での静養を経て現地入りしたシナーは、開幕前の記者会見で次のように現在の心境を明かした。

「非常に長く、ポジティブな時期を過ごしてきた。万全の体調で早くに負けるよりも、勝ち進んで疲労を感じる立場にいる方が常に良い。練習では追い込むタイミングを理解し、適切なバランスを保つよう努めている。初めてここでプレーして以来、全仏は特別な大会。その高揚感もエネルギーを見つけ出す助けになる」

5セットマッチの戦いを見据え、「スタートに失敗しても突破口を見つけられる時間がある」と語る24歳の王者。快挙達成へ向け、確かな自信を胸に初戦のコートへ向かったが、心配は無用だった。

アンフォーストエラーをわずか2本に抑えた第1セットでは、ベースラインからテンポの速いショットでラリーを支配。
3度のブレークに成功し6-1でセットを奪うと、第2セット以降も鉄壁の守備や鮮やかなカウンターショットでタビュールに隙を与えない。結局、最後までブレークポイントを握らせることなく、ストレートの完勝で2回戦に駒を進めた。次戦では、ファン・マヌエル・セルンドロ(アルゼンチン/同56位)と対戦する。

試合後の記者会見で、初戦をストレート勝ちで収めたシナーは、自身のプレーの仕上がりに手応えを口にした。「大会の初戦というのは常にとても特別だし、ナイトセッションでプレーできるのは非常に素晴らしいことだ。彼はとても優れた競争相手だから対戦を楽しみにしていた。本当に良いラリーが何度かあったし、今日のレベルにはとても満足している」と語り、難しさの伴う1回戦のクリアに安堵の表情を見せた。

今大会の開催地パリでは猛暑が懸念されているが、過去に暑さによるコンディション低下を経験しているシナーは冷静に状況を分析している。「今年のインディアンウェルズは非常に暑かったが、暑さにはうまく対処できたし問題は起きなかった。良い方法で準備をしてきた。もちろん(パリは)違う暑さだが、湿度はオーストラリアやアメリカほど厳しくはない」とし、翌日以降の調整を見据えて「毎日が重要。明日は暑さに慣れるための良い1日になるだろう」と語った。


ライバルであるカルロス・アルカラス(スペイン)が不在の今大会、世界ランク1位として受けるプレッシャーについては、王者らしい強固なメンタリティを示している。「プレッシャーは常に存在する。それはテニス選手としての僕たちの一部だ。誰もが自分の仕事においてプレッシャーを抱えている。もしプレッシャーを感じないとしたら、それは気にしていないということ。僕はテニスコートで達成しようとしていることを非常に重視している。同時に、負けたからといって世界が終わるわけではないことも分かっている。いずれにせよ、最善を尽くすだけだ」と締めくくった。

この日の勝利により30連勝という圧倒的な数字を背景に、精神的にも肉体的にも隙のない戦いを見せる24歳のシナー。悲願の生涯グランドスラム達成へ向けて、その歩みに揺らぎはない。
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