ニューカッスルを率いることとなったブルース監督 photo/Getty Images
売る売る詐欺と13番目の候補?
選手たちは混乱しているだろうな。
買収されるんじゃなかったのか。
このような状況だと、モチベーションも湧いてこない。いやいや、そんな言い訳は通用しないな。どんなに負けが込んだって、ジョーディーズ(地元サポーターの愛称)は熱くサポートしてくれる。容赦のないブーイングに飛んでくるブーイングだって、愛情の裏返しだ。彼らの期待に応えてこそ、プロフェッショナルを名乗れるんじゃないかな。
さて、武藤嘉紀だ。昨シーズンはジョーディーズを裏切った。もちろん、彼なりに奮闘したものの、一年目は言葉の違いに戸惑ったみたいだね。ラファエル・ベニテス前監督も、「ムトウはわかっていなくてもイエスという。勉強不足だ」と英語力に苦言を呈していた。
北部イングランドは訛りがきつく、英国人ですら聞き取りにくい。ベニテスの英語もスペイン訛りだけど、インタビュアーが聞き返したケースは少ないんじゃないかな。彼が所属したリヴァプールやチェルシーでも、英語力は問題視されなかったよ。プレミアリーグで闘うなら、武藤は英語に磨きをかけなくちゃ。
![[粕谷秀樹]5節終了時点のデータは56分出場・ノーゴール…… 武藤の立場がちょっと怪しくなってきた](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FTheWorld%252FTheWorld_254757_d3e7_2.jpg,quality=70,type=jpg)
今季もここまで思うような出場機会を得られていない武藤 photo/Getty Images
ライバルのインパクトは超特大
英語が話せるようになればコミュニケーションがスムーズになり、ピッチ上の連携でもリズムが出てくる。当然、定位置確保の確率も高くなるよね。でも、ライバルは少なくないんだな。
ジョエリントンは4000万ポンド(約54億円)もの補強費を使っているから、しばらくの間はスターターだ。アンディ・キャロルはケガばかりしているけれど、破壊力だけならワールドクラス。なにしろ彼のヘディングと左足シュートは、分かっていても止められないじゃん。一度でも見せられると、ブルース監督の心は「やっぱり使おうかな」となるわけさ。インパクトは超特大!
そのほかにも、スペースがなくてもドリブルで前進する“異能”アラン・サン・マクシマン、巧みなステップでマーカーを幻惑するミゲル・アルミロンなどが虎視眈々と定位置を狙っている。だから武藤は、一刻も早く首脳陣にアピールしないと……。
5節終了時点のデータは56分出場・ノーゴール。開幕からベンチには入っているといっても、スターターのチャンスは一度もめぐってこない。負傷で戦列を離れているキャロルは10月中旬に、サン・マクシマンは早ければ次節にも復帰する。これが武藤の現状だ。ちょっと怪しくなってきた。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。