ゴミスと競り合う浦和の鈴木 photo/Getty Images
ゴミスがいることで、まわりの選手が空いたスペースを狙ってくる
11月24日(日)、埼玉スタジアムでACL決勝の第2戦が行われた。対戦カードは浦和×アル・ヒラル(サウジアラビア)。
アル・ヒラルで目立ったのが「個」の能力の高さで、バフェティンビ・ゴミスの力強さ、アンドレ・カリージョの突破力、セバスティアン・ジョビンコのキープ力、サレム・アルドサリのドリブルなどに散々手を焼いた。しかし、これらは事前のスカウティングや第1戦の経験からすでにわかっていたこと。浦和はしっかりと対応策を考えて試合に臨んでいた。
「1対1のところで剥がされないようにしないといけないのは、第1戦を踏まえてわかっていました。自分のところで1対1になるより、サイドや自分の両脇で1対1を作られることが多いので、そこのカバーと真ん中で最後にカベになることを意識していました。ただ、それでも自分たちは前に仕掛けないといけなかった。そして、前に圧力をかけているときにボールを失うと、質の高いカウンターが飛んでくる。失点も前に仕掛けた結果で、自分も含めてもう少し遅らせることができたのかなと感じています」
試合後、こう言葉を残したのは最終ラインの真ん中でプレイした鈴木大輔だ。
「11人を通じての総合力がアル・ヒラルはすごく高かったです。前線の「個」がフォーカスされがちですが、局面で勝負を仕掛けている選手以外のまわりのポジショニングがうまかった。先制点を奪われたときも7番の選手(アルマン・アルファラジ)が斜めに絡んできました。他にも、サイドバックが斜めに入ってきたり、追い越してきたり……。一つ一つのプレイのタイミングが合っていて、「個」の部分ではなく、11人を通じたチーム全体にやられた感じです」
それでも、やはり気になるのは質の高い選手たちと対峙した印象だ。とくに、アル・ヒラルの前線にはゴミスという“規格外”のストライカーがいた。スペインでプレイした時代も含めて、過去に数々のストライカーと対戦経験がある鈴木がこの元フランス代表からどのような印象を受けたのか聞いてみた。
「単純に強さはあったと思います。一番恐かったのは、誰のかわからないボールを自分のモノにしてしまうところです。あとは、やはりまわりの選手の関わり方がすごく良かった。
とはいえ、鈴木を中心とする浦和の守備陣はゴミスをよく抑えていた。後半途中に決定的なチャンスを与えてフィニッシュされたが、GK西川周作がセーブして得点は許さなかった。最後の最後、追加時間にやられてしまったが、試合展開、時間帯を考えればもう仕方がなかった。
「最後に決められてしまいましたが、ゴミスに対しての対応は2試合、180分間を通じて良かったと思っています。アル・ヒラルはクロスを入れるときにみんな彼が膨らんだファーサイドを見ていて、右サイドからなら自分の裏を岩波(拓也)選手がカバーする。逆だったら槙野(智章)選手がカバーする。真ん中は自分が跳ね返すという狙いができていました。
それでも、第1戦、第2戦を合わせて0-3という敗戦となった。組織力で能力の高い「個」を局面で封じることはできても、良質な選手たちがチームとしてまとまり、組織的な戦いを仕掛けてきたときに抑えることができなかった。試合後、ゴミスは自分たちの戦いぶりをリヴァプールやマンチェスターCに例えていた。そして、そうしたチームを完成させたルチェスク監督に感謝していた。では、今後にこうした相手と対戦したときに、いかに勝利を掴むのか──。
「結果論ですが、個々の選手が1対1の能力を高めるに越したことはないと思います。ただ、それだけが方法ではなく、守り方はいろいろあると思います」
浦和に限らず、Jリーグクラブ、日本サッカー界に宿題が残された。
取材・文/飯塚健司
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