トッテナムで勢い止まらぬソン・フンミン photo/Getty Images
今季タイトルを獲得すれば評価は確固たるものに
アジア史上最高のプレイヤーは誰か。過去にも何度か議論されたことのあるテーマだが、今はトッテナムに所属する韓国代表FWソン・フンミンの評価が急激に上昇している。
昨季までも評価は高かったが、今季は開幕からリーグ戦で10得点と爆発。プレミアリーグを代表するアタッカーとなり、さらに一段評価が上がった印象だ。現在最も良い状態にあるアジア人選手がソン・フンミンなのは間違いない。
しかし「アジア史上最高」となると、他にも候補者はいる。日本からはローマでセリエAのタイトルを獲得したMF中田英寿、アジアカップ2011制覇やワールドカップ3大会連続得点など輝かしい実績を残してきた現ボタフォゴMF本田圭佑、ドルトムント時代にはブンデスリーガを連覇するなど圧巻のパフォーマンスを披露していたMF香川真司。彼らも全盛期の輝きはアジア史上最高に近いものがあった。

2010年代は本田&香川が活躍した photo/Getty Images
5季連続で2桁得点の偉業
欧州での実績を考えると元オーストラリア代表FWハリー・キューウェル、元韓国代表MFパク・チソンも印象的だ。特にタイトルの数ではマンチェスター・ユナイテッドでプレイしていたパク・チソンが圧倒的で、プレミアやチャンピオンズリーグ、クラブワールドカップなどタイトル数で見ればアジア人選手の中では最も欧州で成功したプレイヤーと言っていい。
ただソン・フンミンの場合は得点力がずば抜けており、ここが他のアジア人選手との大きな違いだ。すでにリーグ戦10得点に達したソン・フンミンは、これで5シーズン連続でプレミアリーグ二桁得点を記録したことになる。
先輩のパク・チソンはプレミアで8シーズン過ごしたが、二桁得点を記録したことは1度もない。本田もミランで10番を背負ったが、欧州5大リーグで二桁得点は記録できなかった。
香川はブンデスリーガで1度13ゴールを奪ったシーズンがあったが、それでも二桁得点はその1回のみ。プレミアで二桁得点を奪えなかったのはレスター・シティで優勝を経験した岡崎慎司も同じだ。
リーズ・ユナイテッド、リヴァプールでプレイしたキューウェル、エヴァートンなどで活躍した元オーストラリア代表FWティム・ケイヒルでもプレミアでのシーズン連続二桁得点は1度もない。
ソン・フンミンが主にウイングでプレイしている選手だということを考えると、5シーズン連続のリーグ戦二桁得点は称賛すべき数字だ。今季もプレミアリーグ得点王争いにシーズン終盤まで絡む可能性があり、欧州5大リーグでここまでの決定力を披露したアジア人選手も珍しいだろう。スピードや得点力ではソン・フンミンが限りなくNo.1に近い。
しかしアジア史上最高の選手との評価を確実なものとするためには、やはりタイトルが必要だ。トッテナムで今季のプレミアやヨーロッパリーグを制することができれば、アジア史上最高の選手との評価が固まってくるのではないか。
韓国代表でのパフォーマンスが別人のようになってしまうところは少々気になるが、それもトッテナムでの実績でカバーできるだろう。今季が終わったとき、ソン・フンミンの評価がどうなっているのか非常に楽しみだ。