レアルの中盤をコントロールするクロース photo/Getty Images
長短のパスを自在に操る司令塔
ワールドクラスのプレイヤーとの評価を得るには、ハイレベルなプレイを数シーズンにわたって継続する必要がある。対戦相手から研究されたとしても、安定したパフォーマンスが求められるのだ。
その条件をクリアし続けている選手の1人に、レアル・マドリードMFトニ・クロースが挙げられる。ゴールやアシストを量産するタイプの選手ではないため、クロースが絶賛される機会はあまり多くない。しかし、クロースは長年レアルに欠かせぬパスマシーンだ。
今季もクロースはリズムよくボールを散らしており、ここまでリーグ戦で93.4%のパス成功率を記録している。これは今季のリーガ・エスパニョーラで1000分以上プレイしている選手の中ではNo.1の数字だ。
またクロースの場合は、ロングボールの割合が多い。例えば、ともに90.7%のパス成功率を記録しているビジャレアルMFダニ・パレホ、90.3%のバルセロナMFフレンキー・デ・ヨングと比較してみると、パレホは1試合平均のロングボール成功数が5.5本、デ・ヨングは3本だ。それに対し、クロースは6.9本もある。これだけ長いパスを出しながら、パス成功率1位を維持しているのは見事と言えよう。
ロングボール成功数ランキングでも、フィールドプレイヤーの中ではレアルで同僚のDFセルヒオ・ラモスの107本に次ぎ、クロースは2位の103本だ。この長いボールもレアルが攻撃のリズムを作り出すうえで欠かせないものだ。
そして何より恐ろしいのは、クロースがこのパフォーマンスをレアルに加入してからずっと継続してきたということだ。
昨季や一昨季はチームの成績が上がらない中で批判されることも何度かあったが、それでもクロースの安定感は抜群だ。その精密さは機械のようで、クロースに代わるゲームメイカーを見つけるのは困難だろう。おそらくは今季残りのゲームでも高いパス成功率を残してくるはずで、指揮官ジネディーヌ・ジダンにとっては最も計算しやすい選手か。(データは『WhoScored.com』より)