先制弾を決めたのは意外な男ワン・ビサカ photo/Getty Images
サウサンプトン戦で記録的大勝の口火を切る先制弾
マンチェスター・ユナイテッドは、現地時間2月2日に行われたプレミアリーグ第22節でサウサンプトン相手に9-0のスコアで勝利を収めた。記録的なゴールショーを見せたこの試合で、口火を切ったのは意外な男だった。
前半17分、左サイドでボールを受けたDFルーク・ショーが挙げたクロスに大外で合わせたのは右サイドバックのアーロン・ワン・ビサカ。リヴァプールのDFトレント・アレクサンダー・アーノルドやDFアンドリュー・ロバートソンのお株を奪うかのような、両サイドバックによるダイナミックな展開から衝撃の大勝劇が幕を開けた。
プレミアリーグでも屈指のサイドバックに成長したワン・ビサカだが、どんな体勢からでも足が伸びるタックルと1対1の圧倒的な強さから、守備力が長所とされている選手。リヴァプールのFWサディオ・マネやマンチェスター・シティのFWラヒーム・スターリングといった、プレミアを代表するアタッカーもこのイングランド人DFには苦しめられてきた。
一方で、これまでワン・ビサカの課題とされてきたのがオフェンス面。中盤の組み立てに参加したり、アタッキングサードで得点に絡むようなプレイを得意としておらず、指揮官のオーレ・グンナー・スールシャールもワン・ビサカに対して攻撃面での成長を促すコメントを残してきた。
そんな中、ワン・ビサカは前節のアーセナル戦ではゴールには繋がらなかったものの、ショーのクロスに対しペナルティエリアに侵入しへディングで合わせる積極性を見せ、FWエディソン・カバーニにはサイドから精度の高いクロスを供給。そして迎えた今節では、同じくショーのクロスから先制弾をユナイテッドにもたらし、後半には右サイドからのクロスで途中出場したFWアントニー・マルシャルのゴールをお膳立てした。
この2試合を通して散見されたのが高い位置で積極的にボールを受ける姿勢と、右足から上げるクロスの精度の高さ。加えて、ペナルティエリア内に侵入して自らゴールを奪いにいくプレイはこれまでワン・ビサカにあまり見られなかったものであり、スールシャール監督が促してきた攻撃面での成長の一端が垣間見えた瞬間だ。これまで左サイドに偏りがちだったユナイテッドの攻撃だが、右からも可能性が広がることによりチーム全体としてゴールチャンスの増加に繋がっていた。
サウサンプトン戦の先制点後には、祝福するMFブルーノ・フェルナンデスと言葉を交わすシーンが見られた。
元々備えていた圧倒的な守備力を維持したまま、攻撃面でも成長の兆しを見せるワン・ビサカ。同じく左サイドで攻守に安定感のあるプレイを続けるショーとともに今季のマンチェスター・ユナイテッドの躍進を支える“縁の下の力持ち”。その存在感は日増しに高まるばかりだ。