ここまでリーグ・アンで首位を走るリールだが…… photo/Getty images
乗り越えねばならぬ“相性の壁”
2020-21シーズン終盤戦、フランス1部のリーグ・アンで波乱が巻き起こる予感がしてきた。はたして、直近10シーズンで7度のリーグ制覇を誇る絶対王者は、久しぶりに王座を他のクラブに明け渡すこととなるのだろうか。
前線ではベテランFWブラク・ユルマズ(35)や今季ブレイクしたFWユスフ・ヤジチ(24)が躍動し、中盤には“NEXTポール・ポグバ”との呼び声も高いMFブバカリ・スマレ(22)が鎮座、そして守備陣にはビッグクラブ注目の逸材DFスフェン・ボットマン(21)やリーグ最高級守護神との評価も受けるGKメイク・メニャン(25)が君臨している同クラブ。ネイマールやキリアン・ムパッペ級のビッグタレントこそいないものの、各所に実力者は揃っている。総合力では決してPSGに引けを取らないだけに、ここまで首位をキープしていることに驚きはないだろう。
そんなリールはこの勢いのまま、このままPSGを振り切ることができるか。リーグ制覇を成し遂げることとなれば2010-11シーズン以来10季ぶりの快挙となる。もちろんクラブとしては、是が非でもこの絶好機を逃したくないと考えていることだろう。
しかし、今後の対戦相手を考えると道のりは少し険しいか。実は同クラブ、今季残りのリーグ戦で対戦するクラブ相手の戦績は意外にも芳しくないのだ。現時点での順位こそ第35節のニースは9位、第36節のRCランスは5位、第37節のサンテティエンヌは14位、そして最終節のアンジェは12位となっているが、シーズン前半戦におけるこの4クラブとの対戦成績は2分2敗。なんと、リールは1度も勝利を得ることができていないのだ。
その一方で、逆転優勝を狙うPSGはまずまずの対戦カード。残り試合で対戦するRCランス(5位)、スタッド・レンヌ(7位)、スタッド・ランス(11位)、スタッド・ブレスト(13位)との前半戦における戦績は3勝1敗。ひっくり返る可能性は十分にあると見ていいか。
現在は4戦負けなしをキープしているものの、最終盤で試練が待ち受けているリール。はたして、フランスの古豪はこの苦境を打破して頂点に輝くことができるのか。難易度の高いラストミッションだが、それを乗り越えた先には最高の景色が待っている。