R・ウィーンでは随所で印象的なプレイを披露していたデミル photo/Getty Images
派手さこそないものの、才能は確か
世代交代に乗り出すバルセロナに、オーストリアから若き天才肌MFがやってきた。同クラブは9日、ラピード・ウィーンからU-21オーストリア代表MFユスフ・デミル(18)を買取オプション付きのレンタル移籍で獲得したことを発表した。
スペイン『AS』によると、来季はひとまずバルセロナBでの活動となる見込みだというデミル。しかし、その才能はBチームの枠にとどまるものではないかもしれない。これまでオーストリアでプレイしていたこともあってあまり知名度のない同選手だが、R・ウィーンで見せていた輝きは素晴らしいものだった。
デミルは攻撃的MFを主戦場とする選手で、2020-21シーズンは公式戦32試合に出場。まだ若いながらもチームの主力として活躍し、9ゴール3アシストを記録している。ピッチ上ではまるでベテラン選手のような落ち着きを見せ、最大の武器であるドリブルも派手なテクニックを見せつけるというよりは緩急で相手を出し抜くイメージの方がしっくりくるだろう。少し地味だが、そのプレイからは確かな技術を備えていることは随所に見て取れる。
そんなデミルの視野の広さと落ち着きが如実に表れたのが、今年2月に行われたオーストリア・ブンデスリーガ第19節SVリート戦でのゴールだ。この試合にスコアレスの75分から投入された同選手。終了間際の90分に敵陣バイタルエリアでボールを受けると、PAへ侵入する前にループシュートを放つ。すると、誰も予想しなかったタイミングで放ったシュートは、あっさりとGKの頭上を越えてネットを揺らしてしまったのだ。相手の一瞬のスキを見逃さなかったデミル。
決して派手さはない。しかし、他の若手にはない異常な“落ち着き”という武器を持ったデミル。バルセロナのプレイスピードに慣れてしまいさえすれば、トップでブレイクする瞬間もそう遠くないうちに訪れるか。ブラウグラナに加わったオーストリア産の天才肌MFから、今後決して目を離すことはできない。