プレミア最強ガイド #82
今季はウェストハム残留となったライス photo/Getty Images
今夏の移籍市場でビッグネームの獲得に成功したマンチェスター・ユナイテッド。マンチェスター・シティやリヴァプールといったプレミアリーグのライバルクラブと遜色ない選手編成を実現しましたが、早くも次の補強プランに着手しているようです。
今夏、オーレ・グンナー・スールシャール監督はセンターバックと右ウイングの補強をリクエストしましたが、フロントはラファエル・ヴァラン(レアル・マドリード)とジェイドン・サンチョ(ドルトムント)の獲得を実現。さらに、クリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)というビッグボーナスまで付与して指揮官をバックアップしました。さらに来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得という目標をクリアーすることを前提に、来夏の補強リストの絞り込みを進めているというのです。
EUROでの活躍で一躍注目される存在となったイングランド代表デクラン・ライス(ウェストハム)。今夏移籍の可能性も報じられましたが、22歳のMFは残留することになりました。条件をクリアすれば移籍を容認するとしていたハマーズ首脳陣ですが、1億ポンドを目安とする違約金を提示するクラブはありませんでした。
現在、クラブとライス側との間では契約更新の交渉が進められています。代表クラスの選手としては安価な週給6万ポンドを増額することでライス自身のモチベーションを上げ、2024年までの現行契約を延長すると同時に違約金額を8,000万ポンドに設定し、両者にとって円満な形で移籍が実現できる契約を締結する調整に入りました。
これまでマンチェスターの2クラブ、リヴァプール、チェルシーの4クラブが興味を示していますが、DFへのコンバートを示唆しているチェルシーへの移籍はライス自身が難色を示しているとのこと。残されたイングランド北西部3クラブのなかで、早くから熱心に勧誘を続けているユナイテッドがポールポジションに立っていると見られています。
もう一人、こちらはユナイテッド加入が現実味を帯びてきたと噂されるストライカー。ドルトムントFWアーリング・ハーランドの獲得競争です。
スールシャール監督はモルデ時代の2017年、師弟関係にあった当時16歳のハーランドをプロデビューさせたことで知られています。ハーランドは、「ストライカーだった監督には、ボックス内での動きなど色々なことを教わった。さらに僕の夢であるチャンピオンズリーグ優勝を成し遂げた偉大な選手である」と語っています。
ハーランドを獲得できる資金を持つクラブは限られています。チェルシーにはロメル・ルカクが加入しました。マンシティやレアル・マドリードはそれぞれ今夏破談した上記ストライカーへの関心を継続しており、今オフまでに移籍を実現させる方向で準備を続けています。
ハーランドの仲介を担当するミーノ・ライオラは、来夏の契約解除の違約金を7,000万ポンドにすることでドルトムントと合意済み。近年の移籍金相場やハーランド自身の年齢やパフォーマンスを考えれば、相当お買い得な選手と言えます。
ライスとハーランド。この2人が来夏加入すれば、ユナイテッドはプレミアリーグと欧州の2タイトルを狙える充分な戦力が揃うことになります。そのためにも、今季の最低条件であるプレミアリーグ4位以内、チャンピオンズリーグ出場権は是が非でも勝ち取りたいですね。
文/西岡 明彦
※電子マガジンtheWORLD261号、9月15日配信の記事より転載