トッティを中心とした当時のローマ photo/Getty Images
2006-07のローマをも超える破壊力
現在ナポリを指揮するイタリア人監督ルチアーノ・スパレッティを語るうえで欠かせないのがローマ時代だ。第一次政権では2005年から4年間指揮したが、代名詞となったのは0トップだ。
当時はまだそこまで世界的に浸透している戦術ではなかったが、2006‐07シーズンのローマはFWミルコ・ヴチニッチが開幕から出遅れて欠場することになった。そこでスパレッティが頼ったのはチームの象徴であるフランチェスコ・トッティだった。
トッティを0トップに据えた戦術は見事にヒットし、トッティはキャリアハイとなるセリエA26ゴールを記録。チームとしては74ゴールを記録し、2位フィニッシュを果たした。残念ながら当時のセリエAではインテルが安定した強さを誇っており、2006‐07シーズンのインテルは勝ち点97を奪って優勝している。ローマは2位だったが、奪った勝ち点は75点だ。このシーズンはインテルの強さを認めるしかない。
しかし、スパレッティが美しいフットボールをローマに落とし込んだのは確かだ。このシーズンはコッパ・イタリアを制しており、スパレッティにとっては嬉しいタイトルとなった。
続く2007-08シーズンも2位に入るなど、優勝こそ出来ずともスパレッティのフットボールはサポーターから評価されていた。
その後のスパレッティはゼニトを経てもう一度ローマへ戻り、2017年からインテル、そして昨年よりナポリの指揮官に就任した。あの1回目のローマ時代ほど注目を集めることはなかったが、今季は違う。

今季のナポリは強い photo/Getty Images
まだ開幕から10試合を消化しただけだが、ここまでスパレッティ率いるナポリは8勝2分で首位に立っている。最大の魅力は攻撃にあり、10試合で25ゴールを奪っている。1試合平均は2.5点とかなりの破壊力だ。
単純な比較はできないが、2006‐07シーズンのローマは1試合平均1.94点、2007‐08シーズンは1.89点となっており、序盤とはいえ今のナポリの方がペースは上だ。当時のローマが得点部分の多くをトッティに頼り、マンシーニやペッロッタがサポートする形だったのに対し、今のナポリはクヴィチャ・クワラツヘリア、ヴィクター・オシムヘン、ジャコモ・ラスパドーリ、ジョバンニ・シメオネ、イルビング・ロサノなど得点を奪えるカードを多く揃えている。
そのナポリは23日にローマの本拠地へと乗り込む。スパレッティにとっては懐かしのローマ凱旋となり、ジョゼ・モウリーニョ率いるローマをも撃破できれば本物の実力と考えていいだろう。スタディオ・オリンピコでスパレッティ率いるナポリはかつてのローマを思わせる美しいアタッキングフットボールを披露してくれるのか、ローマのサポーターも楽しみにしているはずだ。