モイーズ監督との出会いを経て大人になったようだ photo/Getty Images
セリエA得点王も狙える位置につけている
その問題行動の多さから、かつては悪童と呼ばれていた33歳のオーストリア代表FWマルコ・アルナウトビッチ。ウェストハム・ユナイテッド時代には、かつてマンチェスター・ユナイテッドで日本代表MF香川真司なども指導したデイビッド・モイーズ監督と共闘しているが、その出会いはアルナウトビッチの人生を大きく左右するものだったようだ。
トゥエンテやインテル、ブレーメン、ストーク・シティ、ウェストハムなどといったクラブを渡り歩き、昨夏からはイタリアのボローニャでプレイしているアルナウトビッチ。1年目から公式戦15ゴールをあげる活躍を見せ、今季もすでに8ゴールを記録。現在セリエAの得点ランキングで2位につけている。
このように、今となってはピッチ外よりもピッチ内での話題が豊富なアルナウトビッチだが、若き日の彼は監督やスポーツディレクター、クラブ会長などの言うことを聞かず、何か指摘されても「お前は俺の父親ではない」と反論していたという。アルナウトビッチ本人が、伊『Gazzetta dello Sport』のインタビューでこれを明かしている。インテル在籍時にはジョゼ・モウリーニョ監督にも同様の言葉を浴びせていたようだ。
しかし、現在のアルナウトビッチはそれが間違いだったことを認めており、モイーズ監督との出会いが自らを変えたと主張している。当時のエピソードをこのように語った。
「俺の人生を変えてくれたのは、ウェストハムのデイビッド・モイーズだった。ウイングからセンターフォワードへと役割を変えられ、『君を最前線に出すが、チームで守備をしなければならない』と言われた。『守備はしない』『守備をしないならプレイさせない』というやり取りがあって、2、3ヵ月は身を削って守備をした。そうしたら彼が俺の前に来て言ったんだ。
アルナウトビッチは何が変わったのかは具体的にはわからないようだが、少なくともそれまでは短気だったという自覚があるという。精神的に成熟したことは間違いないはずだが、自分のためではなく、チームのために攻撃に専念するというマインドを学べたことが、彼のプレイによりダイレクトに好影響を及ぼしたのではないか。モイーズ監督との出会いがなければ、現在見せているボローニャでの活躍もなかったことだろう。