引退を決断したクロース photo/Getty Images
稀代のパサーが花道を飾る
レアル・マドリードのMFトニ・クロースがポッドキャスト『 Einfach mal Luppen』の中で、現役引退を発表した。クロースはレアル・マドリードに別れを告げたいと考え、クラブとサッカー界に別れを告げる理由を綴った約5分間に及ぶメッセージを送った。
「マドリディスタの皆さん。私の将来について重要なことを発表したい。とても簡単な言葉ではないし、私にとっても難しいことだと思うけど、世界最高のクラブ、レアル・マドリードでのこの10年目のシーズンが、私にとって最後だということを知ってほしいし、理解してほしい。正直なところ、これが私にとって難しいことであることはお分かりいただけると思う。でも、これが私にとって正しい決断だと確信している。何度も、あるいは何カ月も前からどうすべきか考えてきたし、いつものように賛否両論あるのも事実だが、最終的にはこれが自分の望みであり、自分にとって正しい決断だと確信している」
「私は常にこのクラブで最高の形で終えるという考えや目標を持っていた。数年後、トニ・クロースについて語れば私がどうだったか思い出すだろうし、そこで私はいつも今の私のように生きたいと願っていた。マドリードを去るときはサッカーを去るときだといつも言ってきたんだ」
「ここでの最後のシーズンは、もちろんサッカー人生最後のシーズンでもある。でも、他のクラブに残ろうとかクラブを変えようとか考えたことは、この10年間でひと時もそして今もない。それは知っておいてほしいことだし簡単なことではない。でも、さっきも言ったように、なぜまだプレイしているんだろう、レベルが低い、ベンチにいる、楽しくない......と思われるようなところには行きたくないんだ。そんなところには行きたくない。だからこそ最高の瞬間に終わりたいし、最高の瞬間は今なんだ」
「私が言いたいのは、この10年間ここマドリードで過ごした間、皆さんが私に与えてくれた愛情にとても感謝しているということだ。このクラブは特別であり、ファンも特別であり、だからこそ私はいつもこのクラブ、ここスペイン、マドリードに居心地の良さを感じていた」
「マドリードに来るという決断は、私の人生をとてもポジティブな方向に変えてくれたし、とても感謝している。それが私にとって最も重要なことで、皆さんとクラブと一緒にタイトルを獲ることなんだ。私が10年間言い続けてきたこと……。アラ・マドリード、それが伝えたいことの全てだ」
また、クロースは自身の『Instagram』で母国開催であるEURO2024ドイツ大会を最後の舞台とすることを明かしている。
クロースはこれまで、レアル・マドリードで4度のリーグ制覇と4度のチャンピオンズリーグ優勝(バイエルン・ミュンヘン時代を合わせると5度)などのタイトル獲得に貢献し、代表では2014年にワールドカップ優勝を果たしてきた。そして34歳のベテランとして臨んだ今季は、リーグ優勝に加え、チャンピオンズリーグを決勝まで勝ち進み二冠を達成しようとしている。メトロノームに喩えられる正確無比なパスで試合を作る稀代のパサーがキャリアの最終盤でどのような花道を飾るのか注目を集めるところだ。