イングランド初の黒人代表選手となったアンダーソン氏 Photo/Getty Images
指揮官も欧州人ばかり
トーマス・トゥヘル監督による新体制がスタートし、注目が集まっているイングランド代表。しかしそんななか、かつてイングランド代表初の黒人選手となったヴィヴ・アンダーソン氏は、イングランドサッカー界の多様性の欠如について物申した。
「私がバーンズリーで選手兼監督を務めてから30年以上が経っている。ある新聞記事では、新しい世代の始まりだと書かれていた。しかし、何も変わっていない」
「ノッティンガム・フォレストでボールを蹴っていた子供の頃、私はウェストハムのストライカー、クライド・ベストになりたかった。なぜなら、テレビでサッカーをしている黒人選手のなかで、彼が唯一の存在だったからだ。監督としてクライドに相当する人は誰だろう」
黒人、アジア人、混血、その他の民族的背景をもつ人々を総称して「BAME」と呼ぶが、現在プレミアリーグの指揮官でBAMEに相当するのはフォレストで指揮をとるヌーノ・エスピリト・サントだけだ。エスピリト・サント監督はポルトガルとサントメ・プリンシペの両方にルーツがある。
プレミアリーグにも代表チームにも、現在は黒人の選手が大勢いる。しかしサッカークラブを運営するのは多くの場合、白人の大富豪だ。
「ほとんどのサッカークラブはミリオネア、大富豪が所有している。そのうち黒人は何人いるだろう。
「どのチームにも黒人選手はいる。しかし責任者、権力を握っているのは全員白人だ。それが変わらない限り、何も変わらない」
アンダーソン氏は辛辣なコメントを述べた。確かに保守的な面もあるだろう。しかしティエリ・アンリ、ディディエ・ドログバ、リオ・ファーディナンドなどプレミアリーグで名を揚げた黒人の元選手たちも多く、彼らの発言の影響力もまた無視できないものになりつつある。ゆるやかに時代が変わっていくことに期待したい。