マイアミでプレイするメッシ Photo/Getty Images
誇りと皮肉
ローマのレジェンド、フランチェスコ・トッティ氏が、バロンドールを巡ってリオネル・メッシに対して強烈な皮肉を放った。ローマのキャプテンは「メッシをローマで25年を過ごしていたら、バロンドールをあれだけ獲れていたと思うか」と語った。
トッティ氏はキャリアのすべてをASローマに捧げ、約25年にわたりクラブの象徴としてプレイ。だがその忠誠心と引き換えに、個人賞ではバロンドールを一度も受賞していない。この点についてはかねてより欧州メディアでも議論されており、トッティ氏自身も複雑な思いを抱いていたとされる。
同氏はポッドキャスト『Viva El Futbol』のインタビューで、自身のキャリア選択について語っている。
「別のチームでプレイすることは考えたことがない。意味がなかった。マルディーニと私だけが、同じクラブで25年を過ごした」とトッティ氏。ローマ一筋のキャリアは、忠誠心だけでなく、自身の価値観による強い選択だったと明かす。
さらに話題はリオネル・メッシにも及び、「もし彼がローマで、アレッサンドロ・フラウやセサル・ゴメス、マッテオ・ピヴォットと25年を過ごしていたら、バロンドールをあれだけ獲れていたと思うかい?」とコメント。選手個人の才能だけでなく、所属クラブの環境や支援体制が成績や評価に大きく影響する現実を指摘した。
今回の発言は、世界中で称賛を受けるメッシの実績を否定するものではないが、「クラブの力」が個人の評価に直結する現代サッカー界の在り方への皮肉とも取れそうだ。
メッシがキャリアの大半を過ごしたバルセロナは、メガクラブであり、多くのタイトルを獲得した。トッティ氏のメッセージには「自分ももっと恵まれた環境にいればどうなっていたのか」という意味も込められているのかもしれない。それでも“ローマの王子様”が成し遂げてきたことは伝説的だ。