ヤマルを労うフリック(右) photo/Getty Images
バルサは若き超攻撃集団となった
エスパニョールとのダービーマッチを制し、今季のラ・リーガ制覇を決めたバルセロナ。今季はスーペルコパ、国王杯も制しており、スペインのみならず世界のサッカーファンを魅了する見事なパフォーマンスを見せてくれた。
そのチームを作り上げた指揮官ハンジ・フリックの手腕は絶賛されるべきだろう。『ESPN』はフリックがドイツ代表監督として2022ワールドカップで失敗していたこともあり、当初の期待はそれほど大きくなかったと就任時のことを振り返っている。
しかし結果は大成功で、フリックの超アグレッシブなサッカーはバルセロナを高みへ導いた。今季のチームを語るうえで外せないのは、『超ハイライン』だろう。
同メディアによれば、今季のバルセロナは最終ラインの位置が自陣ゴールから平均68ヤードも離れた位置にセットされていた。それを軸にプレッシングをかけ、相手にビルドアップの自由を与えなかった。
フィットネス部門にフリオ・トゥスを招聘し、選手のフィットネスを見直したことも大きい。今季のチームは時速21km/hを超えるスプリントが1試合平均550.7回もあり、これはリーグでも最多だ。何度か走らないと批判を浴びたライバルのレアル・マドリードの方は、これが454回しかない。
10月のクラシコでは相手から12回もオフサイドを取ったが、これもハイラインのおかげだ。今季のバルセロナはリーグ戦だけで相手を169回もオフサイドにかけており、これもリーグ最多である。
フリックは10月のレアル戦後に「危険そうに見えるけど、そうじゃない」とコメントしていたが、今季の成功を見れば納得のコメントだ。
また、フリックは当初からMFマルク・カサド、マルク・ベルナルなど若手も積極的に起用してきた。これはクラブの財政問題もあり、思うようにビッグネームを獲得できなかったことも影響している。しかしカンテラ出身者をベースに戦うという原点回帰を果たすことにも繋がり、フリックの哲学がカンテラ出身の若手選手たちに合っていた。
彼ら若手は今後まだまだ伸びるはずで、今季が新たな黄金期の始まりとなる可能性もある。そう期待させるだけのインパクトはあったはずで、来季のバルセロナはさらに怖い存在になっているかもしれない。
編集部おすすめ