新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が経済に大きな打撃を与えつつあります。家計のやりくりも今後ますます厳しくなってくるかもしれません。
■主婦が家計のやりくりで重いと思うこと
ソーシャルレンディングサービスを提供する株式会社LENDEXが月に発表した「主婦のお金事情に関する調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000053175.html )」では、「家計は妻と夫どちらが握っていますか?」という質問に対し、6割以上が『妻(66.7%)』と答えています。
また、「現在の世帯年収に満足していますか?」という質問に対しては、約6割が『いいえ(60.8%)』と回答。その理由としては「家のローンでマイナス…」「老後の生活費を考えるともっと収入を増やしたい」「子どもの教育費がかかるため、毎月ギリギリの生活をしている」といった声が寄せられました。
さらに、「家計のやりくりで重いと思うものを教えてください(上位3つ選択)」の結果は以下のようになりました。
1位『食費(68.4%)』
2位『水道光熱費(58.5%)』
3位『家賃(31.2%)』
たとえば、食費については予算内に収まるように献立を工夫したり、水道光熱費を少しでも抑えるように節電・節水を意識したりすることで気が重くなると感じる人も多いようです。
特に、新型コロナによる一斉休校や在宅勤務で家族に1日3食分を用意するということになると、食費にもいっそう気を使わなければなりません。また、家にいる時間が長くなると、節電・節水のハードルも上がるでしょう。
一方、主婦が抱える家計の不満としては、「夫がクレジットカードを使いすぎる」「光熱費や食費をチマチマ節約しても、1回外食したら台無し」「旦那の酒とタバコがなくなればかなり楽!」などの声があがりました。
節約しても気を抜くとすぐに家計が苦しくなったり、夫のお金の使い方に納得いかなかったりなど、余裕のなさからのストレスが伺えます。
■専業主婦世帯と共働き主婦世帯の収入差は?
今や多数派の共働き世帯。「専業主婦世帯と共働き世帯( https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html )」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)によると、2019年時点の共働き世帯は約1245万世帯で、専業主婦世帯の約575万世帯の2倍以上となっています。
その世帯年収は二馬力で働く共働き世帯の方が多くなると推測されますが、実際どれくらい差があるのでしょうか。
総務省統計局が2018年に公表した「家計調査 家計収支編 [二人以上の世帯] ( https://www.stat.go.jp/data/kakei/2018np/index.html )」によると、共働き世帯のほうが1カ月あたりの実収入が10万円以上多くなっています。
また、税金や社会保険料などを差し引いた後に残る「可処分所得」や預貯金も共働き世帯のほうが専業主婦世帯を上回り、黒字幅も大きくなっています。(図表1参照)。
図表1:共働き世帯と専業主婦世帯の実収入・可処分所得・預貯金・黒字・消費支出

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出所:「家計調査 家計収支編 [二人以上の世帯] 」(総務省統計局)のデータをもとに編集部作成
一方で、支出に関してはさほど大きな差はありません。共働き世帯の方が「交通・通信」「教育」で専業主婦世帯を上回っていますが、際立って支出が多いという項目は見られません(図表2参照)。
図表2:共働き世帯と専業主婦世帯の支出比較

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出所:「家計調査 家計収支編 [二人以上の世帯] 」(総務省統計局)のデータをもとに編集部作成
この結果から見る限り、やはり共働き世帯の方が貯蓄に回すお金を捻出しやすいと言えそうです。もし、共働きなのに蓄えが少ない…という場合は、どこに無駄な出費があるかをチェックしてみましょう。
注:共働き世帯のデータは「夫婦共働き世帯のうち有業者が夫婦のみ」の数値、専業主婦世帯は「夫のみ有業」の数値
■老後資金はどう貯める?
先行き不安の今、目の前のやりくりに生活だけで精一杯とはいえ、やはり老後資金を貯めることも忘れてはいけません。どうやって老後のお金を準備すれば良いのでしょうか。
老後資金を貯めるための制度を活用
個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は、自分でつくる年金とも言われます。今は、国民年金や厚生年金だけでは老後が不安、という方も多いのではないでしょうか。そうした公的年金以外に、任意で加入し、自分で掛金を出し、運用方法を選んで掛金を運用するのがiDeCoです。
iDeCoの掛金とその運用益の合計額は、60歳以降に受給することができます。また、1)掛金は全額所得控除・所得税や住民税が軽減、2)運用により得られた利益は非課税、3)受給時も税制優遇あり、といった節税効果があるのも特徴です。
月々の掛金の額は最低5000円からで、加入資格によって上限が決められています。住宅ローンや教育費などに何かとお金を取られてしまい、将来老後資金に困るということがないようにするためには便利な制度だと言えるでしょう。原則60歳まで引き出せないというルールも、確実に貯めることにつながります。
なお、加入資格などの詳しいことは、iDeCoの公式サイト( https://www.ideco-koushiki.jp/ )をご覧ください。
固定費を見直して簡単節約
iDeCoを利用するにせよ、その他の方法で老後資金を貯めるにせよ、どこかで節約をして貯蓄のためのお金を捻出しなければなりません。その点、一度安いプランに切り替えてしまえば継続的な節約効果が期待できるのが固定費です。出費を抑えることを考えるなら、まず固定費を見直してみましょう。
光熱費については、2016年の「電力自由化」、次いで2017年の「ガス自由化」によって、自分のライフスタイルにあわせて自由に電気・ガスの会社とプランを選択できるようになりました。
たとえば、エネチェンジ株式会社のデータ( https://enechange.jp/articles/liberalization )によると、2020年4月21日時点で関東・甲信越(東京電力エリア)においては、選べる電力会社数は60社、プラン数は256プランとなっています。
また、ばかにならないのが通信費です。
スマホの月額料金は、大手キャリアから格安スマホに切り替えると半分から約3分の1ほどになるケースもあります。通信速度が不安定だったり、電話の使用が多い場合は通話料がかえって高くなるなどのデメリットもありますが、固定費の削減には効果大です。
また、他にも利用していない動画サービスなどのサブスクリプションは解約するなど、無駄な支払いがないかをこまめに見直すといいでしょう。
■おわりに
”コロナ不況”が懸念されている今、目の前の生活に精一杯と感じる方も少なくないでしょう。しかし、「人生100年時代」には老後資金を貯めることも無視できません。節税効果のある個人型確定拠出年金のiDeCoを利用したり、固定費を見直して支出を減らすことで、コツコツ貯蓄を増やす仕組み作りをしていきましょう。