「仕事を頑張って稼いだ自分のお金は、自由気ままに使いたい!」
30歳代のおひとり様は、自由に使えるお金に余裕がある人も多いでしょう。思わぬ出費や、予定していないものをつい買ってしまうこともしばしば。
一方で、親世代がリタイヤを迎える時期、というケースも多い年代。「このままで大丈夫かな」という不安や、老後の資金についてチラチラと頭をよぎり始めるころではないでしょうか。
今回は、「30歳代・おひとり様」にフォーカスします。リアルな貯蓄事情、そして今から始められる資産形成についても触れていきましょう。
■30代シングルの貯蓄事情
30歳代の単身者の貯蓄について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和元年(2019年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2019/ )」の結果をみていきます。それによると、金融資産を保有している単身世帯の平均は572万円(中央値300万円)、金融資産を保有していない世帯を含んだ全体の平均では359万円(中央値77万円)となりました。

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※金融広報中央委員会の資料をもとに編集部作成
同調査では、単身世帯の年間手取り収入(税引後)についても調査しています。これによると、独身30歳代の年間手取り収入(税引後)は平均300万円(中央値300万円)となり、同調査における20~60歳代のどの世代よりも中央値が高い結果となりました。
この結果をみると、30歳代おひとり様は貯蓄もしやすいのでは?と考えることもできますよね。
ところが、同調査の「年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)」をみると、20歳代・30歳代ともに16%。「手取りが多いから貯蓄もしやすい」と一概にくくることは難しそうです。
■つい「ちょっと良いもの」を買ってしまう
シングルライフは、生活費や必要経費を除けば自由に使えるお金に比較的余裕がある人が多いでしょう。
ここで、30歳代の独身女性を例に、「ついお金を使い過ぎちゃった」というケースをみていきましょう。
心当たりはありませんか?
- 自分へのごほうびにブランド服を購入。20歳代よりも洋服代がアップ。
- 自分の身は自分で守りたいから、手厚い保障の保険に加入。
- 化粧品や美容グッズを買い揃えるのが趣味。
- 友人、家族へのお祝いやプレゼントを奮発しがち。
- 思い切って入会金20万円の結婚相談所へ。
仕事にも慣れてきて収入も安定してきた30歳代。「今の時期だから」満足できるお金の使い方かもしれません。でも、頭の片隅には「老後」に向けた心配がチラチラ…。
■老後への意識「ソロ終活って?」
株式会社鎌倉新書は2019年に60歳代以上の独身者と、夫婦のみで暮らす世帯で、いずれも身寄りがない方(全国)を対象に『おひとりさまの「ソロ終活」に関する実態調査( https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/detail.html?id=5741 )』(有効回答数:556件、調査期間:2019年4月19日~23日)を実施しました。
この調査によると、「ソロ終活」(身寄りがなく、自身の死後を託す人がいないおひとり様が取り組む終活のこと)に「興味があり、準備をしている」19.6%、「興味はあるが準備していない」53.5%、「興味がなく、準備していない」26.9%となっています。
60歳代以上になっても、全体の2人に1人が「興味はあるが、準備していない」と回答しています。
「老後資金」は時間をかけてコツコツ蓄えていく必要があります。これはおひとり様に限ったことではありません。30歳代、40歳代から、リタイヤ後を意識して準備していくことを心がけたいものです。
■30歳代は「老後に向けた資産形成」を始めるタイミング!
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和元年調査結果」によると、老後の生活を心配している世帯の理由として最も多かったのは「十分な金融資産がないから」(76.2%)、「年金や保険が十分ではないから」(57.9%)という結果でした。
「老後が心配、でも何から始めればいいのかわからない」という人も多いはず。資産形成には時間がかかりますが、30歳代から始めておけば時間を味方につけることができます。万が一失敗しても取り戻せるチャンスがあるのも理由の1つ。早く始めるに越したことはないでしょう。
資産形成なんてムリ!?
「株の動きを1日中モニターで追う」「投資をキホンから勉強する」なんて忙しい盛りの30代には無理、なんて思って諦めていませんか?
そんな場合は、プロに運用を任せられる「投資信託」を検討することもおススメです。投資に踏み切れない理由には「忙しいから」のほかに「リスクが怖いから」と考える人も多いはず。ハイリスク・ハイリターンの商品もあれば、リスクが比較的少ないバランス型もあります。
つみたてNISAやiDeco(イデコ)では、コツコツ少額でつみたて投資をしながら節税ができます。
(※)現在、通常の株式取引では、100株(=1単元)単位でしか購入することができませんが、ミニ株では「1株」や「10株」などの単位で売買が可能です。(“ミニ株”の呼称や、詳しい売買条件については、取扱証券会社によって異なります。)
■資産形成のカギは「早めのスタート」
自由なイメージの一方で、老後の心配もあるおひとり様。資産形成のスタートは早いに越したことはありません。勤務先の財形貯蓄、つみたてNISAやiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)などの活用を検討されてみてもよいでしょう。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
『「家計の金融行動に関する世論調査」[単身世帯調査] (2019年)( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2019/ ) ( https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2019/ )』金融広報中央委員会
『おひとりさまの「ソロ終活」に関する実態調査(2019年)( https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/detail.html?id=5741 )』鎌倉新書