便利なものがあれもこれもお得な価格で並んでいる100円ショップ。「必要なものはまずは100均にないか覗いてから買う」なんていう賢い主婦もいるのではないでしょうか。
■生活に欠かせない100円ショップ
私たちの生活に欠かせない存在ともいえる100円ショップ。特に有名なのが、ダイソー・セリア・キャンドゥ・ワッツの4社ではないでしょうか。
業界動向サーチが発表した「100円ショップ業界の現状と動向(2020年版)( https://gyokai-search.com/3-100yen.html )」によりますと、2009年から2018年までの10年間、100円ショップ業界は増加傾向にあり19年はほぼ横ばいで推移しています。大手100円ショップ各社の売上高は、ダイソーが前年比3.6%減の4584億円(2020年2月期、11ヵ月の変則決算)、セリアが同6.5%増の1814億円(2019年3月期)、キャンドゥが0.7%増の721億円、ワッツが3.9%増の531億円と、ダイソーはややマイナスでしたが、いずれも好調な業績を残しているといわれています。
今までは「ちょっとくらいチープでも安い方がいい」といった型落ち品を購入するイメージが強かった100円ショップですが、近年はおしゃれでかわいい商品が増え、オリジナル商品などを開発し差別化を進めています。そのため、若い女性や主婦などの心をとらえることが多く、インテリアなどに活用する人も少なくない傾向のようです。
■「100円だから」の罠⁈
そんな便利な100円ショップは、節約主婦にとってかなり心強い味方に見えます。専業主婦のSさんは、ご近所の100円ショップのパトロールが趣味という自称「節約主婦」。しかし、ご主人から「間違った節約は長期的にみると損をしている場合もある」と指摘を受けたとのこと。一体どういうことなのでしょう。
「妻は100均でシンプルなアイテムを見つけてきては自分でインテリアに取り入れるのが趣味です。本人もそれを自覚しており『高見えを目指す』といって先日キッチンの改造を始めました。
しかし、僕からすると『すべてのパーツの合計は果たしていくらか』ということと『何年も使えそうな素材か』の視点が妻には抜け落ちている気がしたんです。
実際に、収納を組み合わせてそろえたキッチン周りを見せてもらいましたが、材料費を合わせると既製品が買える値段にいつの間にかなっているんです。妻はDIYをするとき材料を一度に購入せず、試行錯誤しながら買い足しているためそのことがよく抜け落ちている傾向にあります。
また、素材を比べると、すでにセットで販売されているものは何年も耐えうるもので、取り換える必要を感じません。100円ショップの素材がすべて安価な材質とはいいませんが、短期間で劣化して何度も買い替えてしまうと結局値段は2倍になるということですよね」
ご主人からの指摘にハッとしたというSさん。確かに、プロがやったようなピッタリ感はなかなか出せず、値段の割には「間に合わせ感」が出ていた自作の収納グッズに気づいたそうです。ただ、衛生的な面からみて数年で買い替えた方が気持ちよく使える品物に関してはやはり100円ショップのアイテムはかなりコスパがいいと感じているとのこと。
「継ぎ足しや間に合わせ感が出るのだったら、しっかりとした既製品を賢く買う。長いスパンで見るという視点が抜け落ちていたのかもしれません」
■欲しいのはいくつ?
また、ご主人は「何個入りで100円なのか妻は見ていない気がする」とも指摘しています。ご主人によると、奥様はお子さんたちの消耗品も100円ショップでそろえることが多いとのこと。
「具体例として、お子さんが好むキャラクター入りの絆創膏をあげてみます。100均ではたいてい4枚100円ですよね。でも、薬局で20枚300円で売っているとします。100均は1枚25円なのに対し、薬局で買うのであれば15円。全然お得じゃないことがわかります。同じようにイラストティッシュも同様のことをしているのを見たことがあります。もしこれが『子供が途中で飽きてしまうから』という理由で少ない数量買うことが目的であれば僕は何も言いません。しかし、妻はそういったものに気づかず『安く買えた』とよく発言するのが気になります」
確かに、ご主人が指摘するように「キャラものやよそで買ったら高いものをワンコインで買えた」というのは100円ショップが好きな人が陥りがちな喜び方です。「238円」などといった金額は一見高く損しているように感じてしまいますが、今後何度も買い足す必要があるものかどうかを見極め冷静に考えれば、実際にお得なのはどちらなのかは一目瞭然です。
■100円ショップに何を求めるか
前々から奥さんの「100均豪遊」が気になっていたというご主人。せっかく節約のためにお店選びをしていても、「安いから」の罠に自ら飛び込んでしまってはお金は貯まりません。
「どれくらいのスパンで使うものか」「どれくらいの量が必要か」といったことはなかなか見落としがちな視点です。そういったことを踏まえた結果、たくさん必要なものや長期的に使える専門的なものは適切なお店で購入し、1度しか使わないものや見えない場所に使うもの、ちょっとだけ必要なものや試してみたいものなどを100円ショップで購入してみる。そういう風に生活に役立てていけば、真の節約への近道になるのかもしれませんね。
参考資料
業界動向サーチ「100円ショップ業界の現状と動向(2020年版)( https://gyokai-search.com/3-100yen.html )」