2021年6月21日、全国子どもの貧困・教育支援団体協議会などを含む13団体が院内集会を開き、共同提言を公表しました。子育て世帯・低所得世帯に向けた継続的な現金給付の実施などを求めています。
そこで今回はこの内容を解説していきます。子育て世帯をめぐる手当についての議論もあわせてみていきましょう。
■「子育て特別給付金」の再給付を
提言では、コロナ禍で影響を受けている子育て世帯を対象に、「低所得子育て世帯生活支援特別給付金」(以下特別給付金)の再給付などを求めました。
特別給付金は、コロナ禍が長期化する中で、低所得の子育て世帯を支援することが目的として政府が3月に支給を決定したものです。
支給対象者は下記の通りです。
給付額は児童一人あたり5万円で、約2175億円が予算として組まれました。
また、今回の提言では児童手当についても要望が出されています。
■児童扶養手当「2倍」に 高校生までの延長も要望
提言では、児童手当の増額や、高校生までの延長も要望されました。
【児童手当】増額や対象者の拡大を要望
拡大する
【出典】公益財団法人あすのば「コロナ禍 子ども・若者のいのちと生活・学びを守ろう!共同提言」
このほか、ひとり親世帯はコロナ禍の影響が大きく、平時からの支援拡充が必要であるとして「児童扶養手当の支給額を2倍」に増額することを要求しました。
児童手当をめぐっては、さまざまな主張があります。立憲民主党も特別給付金の再支給を過去に求めています。
■立憲民主党も特別給付金の再支給を要望
立憲民主党は2021年6月3日、「子育て世帯給付金」再支給法案を衆議院に提出しました。
長期化するコロナ禍の影響もあり「当事者からは、給付金を再支給してもらわなければ生活を維持していくことができないとの悲鳴が上がっている」として、給付金を再度支給してほしいというのが今回の要望となっています。
コロナ禍で生活に苦しむ子育て世帯の支援のほかに、立憲民主党は高所得者の子育て世帯のための要望も出しています。
高所得者の「特例給付」の復活を
立憲民主党は2021年5月31日、「子ども総合基本法」法案を衆議院に提出しています。児童手当の対象の拡大などがポイントです。
まずは、廃止の決まった児童手当の復活について、解説していきます。
現行の制度では、中学校卒業までの子ども1人について毎月手当が支給されます。金額は下記の通りです。
- 3歳未満…1万5000円
- 3歳以上…小学校終了前までが一律1万円(第3子以降は1万5000円)
- 中学生…1万円
しかし親の所得によって限度額があります。たとえば会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の世帯では夫の年収が960万円を超えた場合、「特例給付」として支給額は子ども1人につき一律5000円となっていました。
この一律5000円の手当について、今回の改正で年収1200万円以上の高所得世帯は対象外となる法案が2021年5月21日に成立しました。「廃止の決まった5000円の手当を復活させてほしい」というのが立憲民主党の要望です。
所得の多寡に関わらず、子育てをする全世帯に一定の給付を求めていると言えるでしょう。
■子育て世帯の支援 みんなの意見は?
今回は、提言の内容をもとに子育て支援をめぐる議論について解説してきました。
- 低所得者も高所得者も給付をお願いしたい
- 家庭によって状況はさまざまなので、年収だけを支給の要件にしないでほしい
- 2回目の国民全員に一律給付を早くしてほしい
子育て世帯だけではなく全世帯を一律で支援してほしいという意見が多く見受けられました。
今後も子育て世帯をめぐる議論は続くので、動向をチェックしていきましょう。
参考資料
- 公益財団法人あすのば「コロナ禍 子ども・若者のいのちと生活・学びを守ろう!共同提言」( https://www.usnova.org/wp-content/uploads/2021/06/teigen-210621.pdf )
- 立憲民主党「『子育て世帯給付金』 再支給法案」を衆院に提出( https://cdp-japan.jp/news/20210603_1467 )
- 立憲民主党「子ども総合基本法案」を衆院に提出( https://cdp-japan.jp/news/20210531_1449 )
- 内閣府「児童手当制度のご案内」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html )
- 立憲民主党「子ども総合基本法案」のポイント ( https://cdp-japan.jp/files/download/muvJ/H4VY/o2Yn/1au3/muvJH4VYo2Yn1au3TcuCfcUu.pdf )