30~40代のファミリー層にとって、子どもの送迎や通院、買い物やレジャーなどでの利用に便利な車。コロナ禍においては、密を避ける移動手段としても見直されつつあります。



一方で、近年は若者の車離れが叫ばれています。2021年10月29日に公表された、PIAZZA株式会社が都市部(東京都、神奈川県、大阪府、千葉県、愛知県、兵庫県など)に住む30~40代の男女1088名(男性25%・女性74%)に行った「都市部30~40代ファミリー層の自動車の所有やニーズに関する調査」によると、車を所有していない人は49%。



東京23区に絞ると、車を所有していない人は67%にのぼります。



今回は都市部ファミリー層の自動車事情や、年間の維持費の負担などを見ていきます。



■自動車の所有台数。都市部、特に東京23区は?



先ほどの調査より、都市部ファミリー層の車の所有台数をみていきましょう。



■自動車所有台数



全体



  • 1台:44%
  • 2台:6%
  • 3台以上:1%
  • 所有していない:49%

東京23区



  • 1台:30%
  • 2台:3%
  • 3台以上:1%
  • 所有していない:67%

それ以外



  • 1台:55%
  • 2台:8%
  • 3台以上:2%
  • 所有していない:35%

※地域SNS「ピアッザ」調べ



    都市部全体で見ると、車を所有していないのは49%。しかし東京23区で67%、それ以外で35%と、同じ都市部でも地域によっておよそ30%の差があります。



    東京23区で自動車を所有していない理由をみると、「公共交通で事足りる:81%」「購入費・維持費がかかる:74%」「利用頻度が少なくレンタカーやカーシェアで充足:51%」「駐車場事情:42%」などが見られました。公共交通機関が充実する一方で、購入費・維持費・駐車場事情など費用面での問題がみられます。



    自動車所有者のうち、運転頻度は「ほぼ毎日:34%」「週に1~2回:36%」「週に3~4回:19%」。運転目的は多い順に「買い物:91%」「旅行・ドライブ:65%」「家族の送迎:52%」「通勤・通学:29%」。

    都市部でも買い物や旅行、送迎などで頻繁に車を利用されている方がいるようです。



    ■自動車に対する不満は「維持費」。東京23区の維持費は?



    何かと便利な車ですが、やはり気になるのがお金の問題です。現在車を所有している人の抱える不満をみてみましょう。



    ■現在所有する自動車に対する不満



    • 不満はない:46%
    • 維持費:24%
    • サイズ感:21%
    • 燃費性能:19%
    • コストパフォーマンス:9%
    • 安全性能:6%
    • 自動運転性能:6%
    • 走行性能:5%
    • 環境性能:3%
    • その他:3%

    不満の中で最も多いのは、維持費の24%。「自動車購入・買い替え検討につながる改善ポイント」で最も多いのも維持費で30%でした。車検代や自動車、任意保険料、ガソリン代、駐車場代など、車にかかる維持費の負担は大きいでしょう。



    では、一般社団法人 日本自動車工業会の「2019年度乗用車市場動向調査」より、2019年の車の年間維持費について、全体と首都圏・中心部(23区)を確認しましょう。



    ■2019年・年間維持費【四輪自動車保有層】



    全体



    • ~10万円:8%
    • ~20万円:26%
    • ~30万円:26%
    • ~40万円:14%
    • ~50万円:13%
    • それ以上:14%

    首都圏・中心部(23区)



    • ~10万円:9%
    • ~20万円:17%
    • ~30万円:19%
    • ~40万円:10%
    • ~50万円:20%
    • それ以上:25%

    全体の年間維持費で最も多いのは「~20万円」「~30万円」ですが、首都圏・中心部(23区)では「それ以上」が最も多い結果に。23区の維持費は、50万円以上かかるのが一般的なようです。



    「各維持費の負担感」をみると、全体で多い順に「車検代:87%」「任意保険料:77%」「自動車税:71%」。全体では「駐車場代」を負担に感じる人は30%ですが、首都圏・中心部(23区)に限ると51%と高く、都市部の駐車場の高さが分かります。



    四輪自動車保有層の「今後減らしていきたい出費」をみると、「通信費(スマートフォンの利用など):38%」の次に、「車関連:37%」と「ファッション関係(服・バッグ・アクセサリーなど):37%」。車を所有している人の中では、車関連の費用が減らしたい消費の上位でした。



    節約項目でよくあがる通信費やファッション関係ですが、それと同じように車関連の費用も減らしたいと考える人が多いです。



    ■便利だが購入費・維持費の負担は大きい



    暑い日や雨の日の子どもを連れての移動や、コロナ禍の移動で便利な車ですが、いざ所有するとなると購入費・維持費ともに大きな金額となります。



    23区に限れば年間50万円以上の維持費に加えて、ファミリーカーは購入費用も大きいもの。先ほどの「2019年度乗用車市場動向調査の概要」では、前保有車(買い替え前に保有していた車)の保有期間は平均7.1年(新車7.7年・中古車5.9年)。新車になると10年超の長期保有者が約3割を占めますが、それでも10年に一度など定期的な買い替えが必要です。



    所有するコストを考えると、生活する上で車の必要性の低い都市部では「持たない選択」が多いのも納得でしょう。



    ■参考資料



    • PIAZZA「都市部30~40代ファミリー層の自動車の所有やニーズに関する調査」( https://www.lp.piazza-life.com/about )
    • 一般社団法人日本自動車工業会「2019年度乗用車市場動向調査の概要」( https://release.jama.or.jp/sys/news/detail.pl?item_id=1920 )
    編集部おすすめ