「ふるさと納税」が年末までに済ませておきたい事リストのなかに入っているという方も少なくないでしょう。
2021年も残すところ1ヶ月あまり。
というのも、ふるさと納税は寄附金控除を受けられる納税制度のため、ふるさと納税を行った後には確定申告などの手続きが必要になるからです。
おトクな制度は利用したいけれど、できればラクをしたいですよね。
そこで今回は、ふるさと納税の基本と、面倒な確定申告が必要なケース・必要ないケースについて解説していきます。
■ふるさと納税の概要
ふるさと納税は、いま住んでいる自治体に納めている所得税・住民税を、自分で選んだ自治体に寄附する形で納税できる制度です。
年間で寄附した金額から、自己負担2000円分を差し引いた金額が税金から控除される仕組みになっています。
たとえば、3万円分寄附した場合、2万8000円が控除額になります。
ただし、ふるさと納税の控除額は支払う税金が減るという意味ではありません。
ふるさと納税は支払い額が決まったあとの税金を「一部、前払いする」制度ですから、「節税できるわけではない」ということは覚えておきましょう。
また、選んだ自治体によって返礼品(地域の特産品など)を受け取ることができます。
住民税も所得税もかならず払う必要のある税金ですから、ただ税金として払うだけではなく、返礼品をたのしみながら納税できる点がふるさと納税最大の魅力といえるでしょう。
この返礼品を毎年たのしみにしている根強いファンが多いのもふるさと納税の特徴です。
■確定申告は必要?
ふるさと納税をおこなった後、寄附金控除を受けるためには原則として所轄の税務署へ確定申告する必要があります。
確定申告をすると、所得税は寄附をした年の所得税から控除(還付)を、住民税は寄附をした翌年度の住民税から控除(翌年度分が減額)をうけることができます。
寄附をした翌年の3月15日が確定申告の期限です。それまでに寄附の証明書・受領書や専用振込用紙の払込控など、必要書類を準備しておきましょう。
「返礼品がもらえるなら少しでも多く寄附したい!」という気持ちになりますが、ふるさと納税で寄附できる金額の上限は年収によって決まっています。
上限金額を超えた場合、越えた部分は税控除を受けることができません。気をつけましょう。
自分がいくらまで寄附できるのかをシミュレーションサイトで事前に計算してから、応援したい自治体を選ぶと良いですね。
■ワンストップ特例制度とは?
税金の控除をうけるには原則、確定申告が必要です。
しかし、会社員や公務員としてお勤めの方は、なかなか確定申告とは縁がありません。
「確定申告がいるならやめておこうかな……」と二の足を踏んでしまう方におすすめなのが「ワンストップ特例制度」です。
ワンストップ特例制度を使うと、寄附先の自治体から送られてくる申請書を付属の封筒で送り返すだけで、ふるさと納税で税金の控除を受ける手続きができます。
確定申告が不要で、お手軽なワンストップ特例制度を使うためには、3つの条件を満たす必要があります。
■<確定申告いらず!ワンストップ特例制度の条件>
- 確定申告の必要がない給与所得者
- 1年間で寄附した自治体が5団体以内
- 所得税からの控除ではなく、住民税からの控除の対象となる
難しい条件ではないので、サラリーマンの方であれば基本的に利用できます。
ただし、住宅ローン控除や医療費控除など、その他控除でもともと確定申告が必要な年は、ワンストップ特例を利用できませんので注意しましょう。
また、ワンストップ特例制度の申請期限はふるさと納税をおこなった翌年の1月10日です。
この期限までに申請書を送り返せなかった場合は、通常どおり確定申告が必要になります。
■ふるさと納税以外の制度も
税金とは切っても切れないのが確定申告などの申請作業です。
条件をクリアしていてお手軽にふるさと納税を楽しみたいという方は、ワンストップ特例を使ってふるさと納税デビューしてみるのもおすすめです。
ただし、ふるさと納税は返礼品などの魅力いっぱいの納税制度ですが、払う税金を減らす=節税ができるわけではありません。
節税がしたいという方は、iDeCoや保険商品の生命保険料控除などを併せて取り入れるのも良いでしょう。
■参考資料
- LIMO「ふるさと納税を楽しむための4つのキホン」尾崎絵実( https://limo.media/articles/-/24559 )
- 総務省「ふるさと納税ポータルサイト」( https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.htm )