近年、急速に普及しつつある「ESG投資」。
SDGs(持続可能な開発目標)と併せて国内外の金融市場で広まっている投資手法であり、大手の機関投資家の中でも独自のルールが形成されつつあります。
日本経済新聞社が国内を対象に実施した第2回ESGブランド調査によると、トヨタ自動車(7203)がランキングにおいて1位となりました。
今回はESG投資の基礎情報をSDGsと併せて振り返るとともに、トヨタの事業の特徴も解説します。
■1. ESG投資・SDGsとは
まず、SDGs(持続可能な開発目標)とは、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標で構成される、持続可能な開発を目的とした開発目標です。
領域は貧困や健康・福祉、教育、ジェンダー、エネルギー、経済、気候変動など、多岐にわたります。
そしてESG投資とは、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3点に対する企業の姿勢を評価対象に加え、投資先を選別するという投資手法です。
「E・S・Gに対する姿勢の優れた企業は、将来にわたって持続的に成長するだろう(ゆえに投資するに値するだろう)」という考えに基づいております。
では次に、日本経済新聞社の実施した国内調査を見ていきます。
■2. ESG投資・ブランドランキングの結果
日本経済新聞社は2021年10月8日、一般の消費者やビジネスパーソン約2万1000人を対象としたESGの企業ブランドイメージ調査の結果を発表しました。

出所:日経ESG
その結果、1位はトヨタ自動車、2位はサントリー、3位はスターバックスコーヒージャパンという結果となりました。
※上位全100社につきましては画像をご参照ください。
ブランドの「イメージ」ということで、当然知名度が高ければ高いほど順位も上がりやすくなる側面もあるかと思いますが、グローバルで積極的に事業展開するトヨタなだけに、国内外のSDGs・ESGに関するアンテナが高いのでしょうか。
■3. ESG投資の観点から見たトヨタの事業の特徴とは
ランキングで首位となったトヨタについて、ESGの観点から事業のポイントを以下にまとめてみました。
■3.1 トヨタの事業のE(環境)
トヨタは環境に関して、1960年代というかなり前から継続して取り組みを推進してきました。
また、将来については2050年におけるカーボンニュートラル達成を目的とした取り組みも進めています。
そのほか、森林の保護やマングローブの植林、リユース・リサイクルなども幅広く行っています。
■3.2 トヨタの事業のS(社会)
社会に関しては、「クルマ」という人々の身近なモノを取り扱うだけに、「いい町、いい社会」を念頭に様々な取り組みを実践しています。
製品の安全面はもちろん、交通事故といったより広範な領域での安全施策も行っています。
また、会社の規模を活かし、多くの従業員のほか、サプライヤーや販売店といったステークホルダーとも連携して、サステナビリティを意識した社会的活動を推進しています。
■3.3 トヨタの事業のG(企業統治)
企業統治については、トヨタは持続的な成長と長期安定的な企業価値の向上をゴールに、取引先や地域社会なども巻き込んだ大規模なガバナンスを実施しています。
そのほか、情報セキュリティやコンプライアンスの点でも、「サステナビリティ」を中心軸とした取り組みを盛んに行っています。
■4. まとめにかえて
普及しつつあるESG投資。
今後は個人投資家も、投資先を吟味するうえで定性的かつ広範な情報を考慮しないと、パフォーマンスに影響が出るかもしれません。
今後も、金融市場での動向に要注目です。
■参考資料
- トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト( https://global.toyota/ )
- トヨタ自動車株式会社 サステナビリティ( https://global.toyota/jp/sustainability/?padid=ag478_from_header )
- トヨタ自動車株式会社 投資家情報( https://global.toyota/jp/ir/?padid=ag478_from_header )
- United Nations Sustainable Development Goals( https://www.undp.org/sustainable-development-goals )