■貯蓄のために今からできることを考える
厚生労働省は2022年9月9日、「2021年 国民生活基礎調査の概況」を公表しました。それによると、2020年の1世帯当たりの平均は564万3000円となりました。
ただ、平均所得金額(564万3000円)以下の割合は61.5%となっています。
今回はこの調査を深堀していきます。
■平均所得を各種世帯別に見る
国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画、立案に必要な基礎資料を得ることを目的としています。
それによると、2020年の1世帯当たり平均所得金額は下記の通りです。
- 全世帯:564万3000円
- 高齢者世帯:332万9000円
- 高齢者世帯以外の世帯:685万9000円
- 児童のいる世帯:813万5000円

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
2019年の調査はなかったため、直近の2018年と比較してみると、どの世帯も金額が増えていることがわかります。
特に児童のいる世帯は2018年は745万9000円でしたが、そこから70万円弱増加しています。
また所得金額階級別に世帯数の分布をみると、「300~400万円未満」が13.4%、「200~300万円未満」が13.3%、「100~200万円未満」が13.1%と多くなっていました。
■平均所得「400万円以下」が4割超の衝撃
所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300~400万円未満」が13.4%、「200~300万円未満」が13.3%、「100~200万円未満」が13.1%と多くなっています。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は440万円ですが、平均所得金額(564万3000円)以下の割合は61.5%となっています。
また、平均所得400万円以下の割合は40%を超える結果となりました。所得にはかなりばらつきがあることがわかります。
■児童のいる世帯「生活が苦しい」割合最多に
各種世帯の生活意識をみると、「苦しい」の割合は、「高齢者世帯」が50.4%、「児童のいる世帯」が59.2%となっています。

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」
■生活意識「苦しい」の割合
- 全世帯:53.1%
- 高齢者世帯:50.4%
- 児童のいる世帯:59.2%
全世帯で半分以上となっていることがわかります。
■まとめにかえて
今回は、厚生労働省の最新データをもとに、各種世帯の所得について解説してきました。
所得の金額を「平均」で見ると、ある程度まとまった金額に感じられます。しかしその内訳や中央値でみると、日本全体の所得は一部のお金持ちが平均値を押し上げており、平均に満たない世帯が過半数であることもわかりました。
相次ぐ物価上昇などで、今後の暮らしが明るくなる見通しもなかなか立ちづらいものです。とはいえ、人生100年時代と言われる今日、老後に向けた貯蓄は誰にとっても課題です。
いきなり大きく貯蓄を増やそうとせず、まずはできる範囲からコツコツと貯蓄を進めておきたいところです。
今ではスマートフォンで簡単に家計簿をつけるアプリも続々登場しています。また、つみたてNISAやiDeCoといった、投資初心者でも少額からはじめやすい制度も整いつつあります。
まずは自分に適した貯蓄の手段があるか、じっくり調べてみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」(2022年9月9日)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/12.pdf )