アベノミクスが始まって以降、働き方や待遇面などについて様々な議論があります。ただ、誰しも高い年収を一度は目指すものではないでしょうか。
■日本の製造業で強い会社は本当に強い
平均年齢36歳で平均年間給与1,800万円超、また平均年齢42歳で平均年間給与1,300万円超をもらえる会社があると聞いて皆さんはどう感じるでしょうか。そして、そのいずれもが製造業だというとどうでしょう? 「やはり日本の製造業は強いな」という印象を持たれるでしょうか。
一方で、「製造業でそんなにもらえるのか」という声もあるでしょう。たとえば、日本を代表する製造業であるトヨタ自動車(単体)の平均年間給与は852万円(平均年齢39歳)です。それを考えると、同じ製造業でそれほどの給与をもらえる会社があるのは驚きかもしれません。
■42歳で年収1,300万円の会社とは
この会社がどこか、何となくイメージはあるでしょうか?
平均年齢42歳で平均年間給与1,300万円を手にできるのは、山梨県に本社を置くファナック(6954)です。同社は工作機械向けのNC(数値制御)システムや、黄色が特徴のロボットを自動車産業向けなどに提供しています。
ご存じの方もいるかもしれませんが、ファナックはもともと富士通(6702)のNC部門だったものが1972年に分離し、設立されました。日本の民間で最初のNCとサーボ機構を開発しており、その後は工場などの生産現場の自動化をリード、サポートしてきた会社です。
過去には米GMやGEと合弁会社を設立するなど、同社の歴史からは、海外の自動車やインフラ装置製造業においても一目置かれる存在であったことが分かります。
ちなみに、1982年にGMとの合弁会社GMFanuc ROBOTICS CORPORATIONを設立(1992年にファナック全額出資子会社とし、FANUC Robotics Corporationに改称)、また1986年に米GEとの共同出資により GE Fanuc Automation Corporationを設立しています(2009年に合弁を解消)。
2017年3月期の連結売上高は5,369億円、営業利益は1,532億円、当期純利益は1,277億円。時価総額も4兆円を超えるなど、日本を代表する製造業と言えます。
■36歳で年収1,800万円の会社とは
若くして高年収を手にできるということでピンときた方もいるのではないでしょうか。この会社は大阪に本社を構えるキーエンス(6861)です。
同社は1974年の会社設立以来、センサーを中心に生産ラインの自動化(FA、ファクトリー・オートメーション)に関する分野を40年近く手掛けてきています。
2016年3月から2017年3月までの売上高は4,127億円、営業利益は2,189億円、当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は1,532億円で、時価総額は先ほどのファナックよりも大きく、6兆円を超えています。
■2社に共通する点とは
さて、ファナックとキーエンス、この若くして高年収を手にできる2社の共通点とは何でしょうか。両社とも製造業であり、いずれも工場など生産現場の自動化をサポートする企業です。
今はバズワードとして、スマートファクトリー、インダストリー4.0、インダストリアル・インターネットなど、生産現場の自動化がさも新しいかのように謳われていますが、両社は工場の自動化を支えるセンサー、サーボモータ、NC、ロボットというようなデバイス、商品、サービス、ソリューションを提供してきています。
モノづくりに共通する課題は、安定した品質の商品を大量に生産できるかどうかです。その領域に取り組み続けてきた両社が日本の株式市場を代表するような企業となり、また世界の自動化を支える企業となっているわけです。
両社に共通するもう一つの点は、いずれも東京に本社がないということです。
次世代の日本の産業をリードする企業、それを見いだせれば若くして高収入を手にすることも可能かもしれません。