日経平均はバブル後の戻り高値を更新
先週(5月15~19日)の日経平均株価は、先々週5月12日(金)の終値2万9,388円と比較し、1週間で1,420円上昇して3万808円となり、バブル後の戻り高値を更新しました。昨年末に出した、2023年末の筆者予想3万1,000円に5月でほぼ到達しました。
日経平均週足:2020年1月6日~2023年5月19日

このような急激な上昇をけん引したのは、外国人投資家の大量買いです。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2023年5月19日(外国人売買動向は2023年5月12日まで)

米国株が買いにくい中、外国人投資家は、相対的にファンダメンタルズが良好な日本株を選好していると考えられます。
日米の投資環境比較

外国人の気持ちを表しているのが、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の言動です。バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは1~3月に米国株を104億ドル(約1兆4,000億円)売り越したことがわかりました。米国株が好きで米国株に強気のバフェット氏も、短期的に米国株に懸念を持っています。
そのバフェット氏は日本株に強気発言を繰り返していて、5月6日の株主総会で日本株を引き続き買い増しする方針を語りました。
なお、日米の景況感の差については、以下の米ISM(サプライマネジメント協会)景況指数と、日本銀行短観DIをご参考までに参照してください。非製造業の景況は日本はとても好調、米国は急減速しています。
米ISM景況指数:2018年1月~2023年4月

日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2018年3月~2023年3月

2023年末の日経平均予想を3万2,000円へ引き上げる理由
2022年末に出した「2023年末の日経平均予想」は、3万1,000円でした。2023年に減速する世界景気が2024年に回復に向かうという見通しの元、2023年の日経平均は前半低迷、後半に上昇トレンドに入り、年末に3万1,000円をつけるという予想でした。
日経平均は、5月19日に一時3万924円をつけています。私の年末の予想水準を、5月時点でほぼ達成したことになります。
2024年にかけて世界景気が回復するという見通しは変わりません。
2022年末に出した2023年の日経平均予想:日経平均の実際の動きは2019年末~2023年5月19日まで

今回、日経平均の年末予想を3万2,000円に引き上げたのは、今期(2024年3月期)も増益が続く見通しが強まったことが理由です。
東証プライム上場3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)

2023年の米景気は減速するものの景気後退には至らず、2024年にかけて持ち直すことを前提としています。相対的に景況の良い日本は、2024年3月期に東証プライム上場企業で5.3%増益すると予想しています。東証プライムがPER(株価収益率)15倍で評価されることを前提に、日経平均は年末に3万2,000円に達すると予想しています。
日本のコアコア・インフレ率(生鮮食品およびエネルギーを除くコアコアCPI(消費者物価指数)の前年比上昇率)が4月時点で4.1%まで上がってきたことも、企業業績および株価の追い風になると見ています。長年にわたり、ゼロインフレに苦しんできた日本企業にとって、干天の慈雨になると考えています。
日本の総合インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)とコアコア・インフレ率(生鮮食品およびエネルギーを除くCPIの前年比上昇率)推移:2020年1月~2023年4月)

<ご参考>2022年12月29日の筆者レポートより2023年の日経平均予想を説明する部分を抜粋
私は、2023年の日経平均は、「前半上値重く、後半強い」展開を予想しています。
前提となる世界景気ですが、2023年前半は一段と悪化(減速)を予想しています。ただし、2023年後半から世界景気は持ち直し、2024年にかけて回復が加速すると予想しています。
株は、景気の動きを先取りして動きます。
▼著者おすすめのバックナンバー
2022年12月29日: 日経平均「2022年予想」の振り返りと「2023年予想」
2023年1月4日: 2023年の日経平均:年初安・年末高を予想する理由
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(窪田 真之)