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窪田 真之が解説しています。

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「 【日経平均急落】一時3万7,000円割れ。下値メドは?エヌビディア、トランプ関税、円高で不安広がる 」


日経平均、大幅下落。一時3万7,000円割れ

 2月28日の東京株式市場で日経平均株価が大幅下落し、一時3万7,000円割れとなった。米半導体大手 エヌビディア が決算発表後に大幅安となり、日本の半導体関連銘柄にも波及。トランプ大統領による追加関税発言や円高不安も影響し、株式市場に先行き不透明感が広がった。


 今後の日経平均の動きについて、楽天証券経済研究所チーフストラテジストの窪田真之は「短期的には3万6,000円程度の下値もあり得るが、今の水準(3万7,000円)が下値メドになる」と予想。今後の見通しを聞いた。


 28日の日経平均株価終値は、前日比1,100円(2.8%)安の3万7,155円。同日の安値は3万6,840円だった。半導体関連株に売りが広がり、 アドバンテスト や 東京エレクトロン 、 ソフトバンクグループ などが下落した。


 大幅下落の要因は、エヌビディアの決算発表だ。

米国時間26日(日本時間27日早朝)に発表された決算は市場予想を上回る好業績だったが、翌日の同社株は8%安に下落した。


 楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫は28日公開のレポート( 決算レポート:エヌビディア )で、同社の今後6~12カ月間の目標株価を前回発表の210ドルから150ドルに引き下げた。「売上総利益率が低下していることに加え、アマゾン・ドット・コムなど大口顧客が設備投資抑制に動いている」(今中)と指摘する。


 トランプ関税と米国景気の不安も相場を押し下げた。トランプ米大統領は27日、中国への追加関税や、延期していたカナダとメキシコへの関税措置について発言。実際に発動するかは不透明だが、窪田は「もし発動すれば世界経済は大きな打撃を受ける。マーケットにとって、今1番のネガティブな材料だ」と話している。


日経平均の下落メドは?窪田真之が解説

 日経平均が大幅下落した要因と今後の見通しについて、窪田の解説は次の通り。


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__日経平均が大幅下落した。要因は

 一つ目の理由は、AI(人工知能)の中核銘柄である米半導体大手エヌビディアの株価が急落したことだ。市場予想を大きく上回る好決算を発表したにもかかわらず、同社の翌日の株価は8%安となった。


 二つ目の理由は、トランプ関税の不安だ。3月4日からメキシコ、カナダへ25%の関税を実行すると言われているほか、中国への追加関税をさらに10%上乗せする考えも示している。脅しなのか、本当に実行するのか分からないが、極めて不透明な材料だ。


 三つ目は日本特有のもので、円高がじりじり進んでいること。これ以上円高が進むと日本株にとってネガティブな要因となる。これら三つの要因が複合的に絡み、日経平均の急落につながった。


__これまで市場を賑わせていた「AIラリー」は終わったのか

 生成AIで世の中が大きく変わることは間違いないが、株価は先行きを織り込むものだ。今回は先取りし過ぎたために、マーケットが調整に動いたとみている。


 各社のAIに対する投資も過剰に膨らんでいたところに、中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)のように低コストで高性能の製品を開発する動きが出てきた。前のめりにAI関連株を買っていた投資家が、「一歩止まって利益確定しよう」というムードになっているということだろう。あくまでスピード調整で、AI関連株が終わるという風には考えていない。


__トランプ政権の動向はマーケットにどのように影響する

 ロシア・ウクライナの停戦交渉や、エネルギー投資、AI投資の促進などは株式市場にとってプラス材料。一方で、マーケットにとって今一番の大きな不安材料は輸入関税だ。


__今後の日経平均の見通しは

 日経平均は3万7,000円まで下がり、そこから上昇するという分析を2024年12月末に出している。今のところ、ファンダメンタルから考える下値メドはこの水準(3万7,000円)だと思っている。テクニカル分析では、短期的に3万6,000円くらいまで下がる可能性もある。


__日経平均が史上最大の下落幅を記録した「令和のブラックマンデー」(2024年8月)のように、大暴落が起きる可能性は

 令和のブラックマンデーは、外国人投機筋による大量の売り買いが歴史的な大暴落につながった。振り返ってみると、景気や企業業績には何の問題もなかったことが明らかだ。今回は外国人投機筋の買いポジションがたまっていないため、このような大暴れはないとみている。


 日経平均はこのままじりじり下がり、トランプ関税による大きな景気悪化がなければ戻ってくるだろう。日本株は長期的に良い買い場だと考える。短期的には下値が下がる可能性があるので、時間分散してリスクを管理することが重要だ。


(トウシル編集チーム)

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