東北・北海道新幹線のE5系電車が10周年を迎えました。しかし、世代交代が早い新幹線車両。
2021年3月5日(金)、東北・北海道新幹線「はやぶさ」などに使用されるJR東日本のE5系電車が、デビュー10周年を迎えました。
E5系は2011(平成23)年3月5日、東北新幹線「はやぶさ」としてデビュー。同時に、宇都宮~盛岡間で25km/hアップの300km/h運転を実現し、東京~新青森間を10分短縮の3時間10分で結びました。
また、グリーン車より上級で、専属アテンダントによる軽食やフリードリンクのサービスがある「グランクラス」も、初めて備えました。
2013(平成25)年3月16日には、最高速度が320km/hにアップ。連結運転するE6系「こまち」とともに「新幹線最速」を誇っています。
10周年を迎えたJR東日本のE5系(画像:写真AC)。
ただ、10周年にこういう話もなんですが、高速で長距離を走る新幹線車両は、その人生も長くはありません。
E5系直系の先輩といえる、1997(平成9)年にデビューしたE2系は、すでに初期タイプの車両(0番台)がすべて引退しています。
そして、E5系直系の後輩ともいえる車両も、姿が見え始めています。
2030年度末予定の北海道新幹線札幌延伸を見据え、JR東日本が送り出した試験車両、E956形「ALFA-X」。2019年5月から東北新幹線で走行試験を続けているこの車両が、E5系直系の後輩の姿に関わってくることでしょう。
E5系直系の後輩は、最高速度が40km/hアップの360km/hになるかもしれません。「ALFA-X」は、将来の営業車両で360km/h運転を実現することが目指されているからです。
E5系直系の後輩は、空気抵抗をブレーキ力にする「空力ブレーキ」を装備するかもしれません。「ALFA-X」は地震時により早く止まるため、屋根上に空力抵抗板ユニットを備えているからです。また台車(車輪部分)に、リニア式減速度増加装置も備えます。

JR東日本のE956形「ALFA-X」(2019年5月、草町義和撮影)。
E5系直系の後輩は、鼻が長くなるかもしれません。「ALFA-X」はトンネル進入時の圧力波発生を抑えるため、E5系より「鼻」がさらにのびています。E5系は約15mですが、「ALFA-X」は東京側先頭車が約16m、札幌側先頭車が約22mです。
E5系直系の後輩は、自動運転に対応するかもしれません。「ALFA-X」では、将来の自動運転を目指した研究開発が行われます。またJR東日本は今後、新潟~新潟新幹線車両センター間で、E7系電車を使い自動運転の試験を実施する予定です。
E5系直系の後輩は、荷物輸送へ本格的に対応するかもしれません。コロナ禍で旅客需要が落ち込み、戻らないともされるなか、東北・北海道新幹線で荷物輸送が進められようとしおり、JR東日本は専用車両の研究を進めているという報道もあります。
E5系の開発にあたり、その前の2005(平成17)年に登場した試験車両、E954形「FASTECH 360 S」も、360km/hでの営業運転が目標にされていました。
E5系直系の後輩――「E9系」もしくは「E10系」は、その2世代におよぶ宿願を果たすことになるのでしょうか。