陸と海との接点、さらにはマリンレジャーを体験する拠点として、国が「海の駅」の設置を推進しています。全国の176駅から、絶品グルメを味わえたり、お得感満載の買い物ができたりする駅を3つ紹介します。
道路に「道の駅」があるように、海にも「海の駅」が存在します。
「海の駅」とは、若者を中心に“海離れ”が進行している背景から、国民が海に親しむことを目的のひとつに国土交通省が設置を推進。陸と海とをつなぐ接点、マリンレジャーを体験する拠点として整備されています。
プレジャーボート。写真はイメージ(画像:写真AC)。
2000(平成12)年3月に、広島県豊町(現・呉市)で「ゆたか海の駅」が第1号として誕生すると、北は北海道、南は沖縄県まで日本各地へ拡大していき、2021年7月現在は全国に176駅あります。訪れた人が誰でも楽しめるよう、レンタルボートを利用したクルージングや海産物の販売、漁業体験まで、それぞれの地域の特性を活かした海にまつわる様々な取り組みが行われています。
「海の駅」の登録条件は「来訪者が利用できる船舶係留施設があること」「海の駅に関する情報提供等のためにガイドを配置していること」「来訪者が利用できるトイレを有すること」の3つ。「道の駅」が道路利用者のための施設である一方、「海の駅」は陸からの訪問も歓迎しつつ、船舶利用者のための施設というわけです。
今回は、「グルメ」「買い物」「体験」の3つの観点に絞って、「海の駅」を3駅紹介します。
グルメ部門「きょなん・ほた海の駅」千葉県鋸南町にある「きょなん・ほた海の駅」の特徴は、なんといっても漁協直営ならではの新鮮な海の幸を味わえることです。
保田漁港内、漁協事務所前の岸壁にビジターが一時係留できるプレジャーボート用係留浮き桟橋があり、週末ともなれば多くのボートが寄港しています。
「ばんや」は漁協直営だから実現できるリーズナブルな価格で料理を提供しており、その日に水揚げされた魚や仕込み状況によってメニュー内容が変わります。定番メニューの「イカのかき揚げ丼」は、イカをふんだんに使ったボリューム満点のかき揚げで、甘さ控えめの醤油ベースのタレがしっかりと衣に染み込んでいます。ほかにも「金目鯛の姿煮」が1000円で味わえるなど、お得感満載で県外からのリピーターも多いそうです。
お買い物部門「みうら・みさき海の駅」神奈川県三浦市にある「みうら・みさき海の駅」は、三崎港産直センターを抱える三崎フィッシャリーナ・ウォーフ「うらり」に併設されています。
「うらり」の1階は、水揚げされたばかりの地魚やマグロをはじめ水産加工品、惣菜などを販売する「さかな館」。三崎でも数少ない本マグロ専門店「オーシャン・グロウ」や、和菓子職人の店主が、三崎港のマグロを使った製品を販売している「清月」など12の店と、商工会議所が運営する三浦ブランド館のコーナーがあります。
2階は農産物を主体とした直売所「やさい館」があり、三浦市内の農家が自家畑で育てた新鮮な野菜が並びます。どちらも市場のような雰囲気の中で、買い物を楽しめます。
体験部門「しんみなと海の駅」 マリンチック街道上にある富山県射水市にある「しんみなと海の駅」は富山湾の中心に位置し、最大収容隻数700艇を誇る日本海側最大級のマリーナ施設「富山県新湊マリーナ」に併設されています。

▽印が、富山湾の中心に位置する「しんみなと海の駅」(国土地理院の地図を加工)。
富山湾は「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟しており、本州の日本海側で唯一、クルージングルート「マリンチック街道」にも選ばれていることから、県外の観光客や外国人旅行者にも人気のエリアです。
「マリンチック街道」とは、旅行者や観光客にとって海や船が楽しく身近な存在になることを目的に、船で海の駅などをたどるルートのこと。海事局が推進しています。
そのような「しんみなと海の駅」では、レンタルボートで美しい富山湾を満喫できます。さらに、BBQ施設やオーナーズハウス、シャワールーム、給油施設が完備されており、富山湾のマリンレジャーにおける拠点にもなっています。
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以上、3つの観点から海の駅を紹介しました。このほかにも、日本各地にはバラエティ豊かな海の駅が多数存在します。「陸」から「海」から立ち寄ってみて、それぞれ違う顔を見つけるのもよいかもしれません。