右折車にとって矢印表示のない時差式信号機は、対向車が来るのかどうか分かりづらいという声があります。判断に迷ううちに赤信号となり、さらに後続車が詰まることも。

ただ近年は、信号機にも工夫がなされてきています。

今、対向車側は赤信号なのか

 交差点には、右折車線があり信号機に右折の矢印が設けられているところもあれば、道幅が狭く右折レーンを設けられない、矢印信号機を設置していないなどの理由で、青信号延長のみの時差式制御になっているところもあります。そして後者のケースでは「右折のタイミングが分かりづらい」との声がしばしば聞かれます。

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矢印表示のない時差式信号機(画像:写真AC)。

 理由は青信号の「延長」がいつから始まったのか、対向車側は本当に赤信号なのか判別しづらいためです。時差式信号機は色が変わるタイミングに、自車側と対向車側とで時間差が設けられているわけですが、もたもたしているとすぐに赤信号になってしまいます。

 青信号延長のメリットは、時差中に右折車だけでなく直進車も進行できる点です。ただ「右折のタイミングが分かりづらい」との声を受けて、信号機にも対策がなされています。ひとつは時差中に、直進と右折両方の矢印を表示するものです。対向車側が黄もしくは赤信号になったタイミングで青信号から矢印信号に切り替わるので、こちら側の「青」が延長されているのが分かりやすくなります。

 ふたつ目は、延長時間まで右折車を進行させないタイプです。先ほどと逆で、初めに直進矢印のみを表示し、対向車側が赤信号になったタイミングで青信号に切り替わります。

これは、交差点前方がカーブになっていて見通しが悪いなど、いわゆる右直事故が発生しやすいと思われるケースでよく見られます。いずれの時差式信号機も、直進車の円滑な交通に寄与しています。

右折のタイミングが分かりやすい信号機

 ところで東京都には、先述した2つのタイプとも異なる時差式信号機があります。

 交通量が圧倒的に多く、大規模な交差点も多い東京都では、直進車・右折車ともに少しでも円滑に流すことが求められます。信号機は冒頭で触れた青信号延長のみの基本的なタイプですが、これとは別に右折車が目指す方向、つまり交差点の斜め方向にも特殊な信号機が設置されているのです。

今、右折OK? タイミング難しい時差式信号機の「対策」とは 矢印&特殊信号&more

東京都にある「右折車専用」信号機。交差点に対し斜めに設置されている。右折車はこの信号機に従えばよい(2021年9月、大藤碩哉撮影)。

「右折車専用」の表記があるこの信号機は、文字通り右折車のみが従います。斜めに向いているのは、右折車がハンドルを切って交差点中心のすぐ内側で待機中、正面に見えるようにするためです。

 自車側の信号機が青の際、右折車専用信号機は黄点滅。つまり対向車がなければ、周囲の交通に注意して右折可能です。

対向車側が赤信号に変わると、専用信号機は右折矢印を表示。確実に時差中であることを知らせます。ちなみにこの時、自車側のほかの信号機は青のまま。直進車も進行可能です。既設の信号機に矢印を増設し、制御を細かく変更する必要がありません。

 右折のタイミングを図りやすい時差式信号機は、例えば神戸市の三宮にもあります。青信号を延長するタイプですが、対向車側が赤信号の際は「時差作動中」と表示されます。

 時差式制御に切り替わったかどうかを見極めるために、歩行者用信号機を見ればよいという声も聞かれますが、これは禁物です。歩車分離式など、必ずしも車両用と歩行者用の信号機が連動しているとは限らないからです。思い込みはせず、あくまで正面の信号機に従うべきでしょう。

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