東京都品川区の戸越公園から大井町駅方面へ抜ける新たな都市計画道路が開通。そこにはバス停の設置を想定した施設がありました。

バス路線が新設されれば、大井町駅へのアクセスが便利になりますが、どうなるのでしょうか。

悲願の開通を迎えた「補助第26号線」豊町工区

 東京都品川区で2021年10月22日(金)、ふたつのトンネルが開通しました。戸越公園から東急大井町線とJR横須賀線・東海道新幹線の下をくぐり、東急大井町線の下神明駅付近へ抜ける「豊トンネル」「ふたばトンネル」です。

 この道路は都市計画道路「補助第26号線」に位置づけられ、武蔵小山方面と大井町方面を直結し品川区の東西軸を形成します。また、都道「鮫洲大山線」として認定されており、最終的に品川区から板橋区大山までをむすぶルートとなる予定です。山手通り(環状6号線)と環七通り(環状7号線)に挟まれた位置関係から「環6.5」と呼ばれることもあります。

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10月22日に開通した豊町工区(乗りものニュース編集部撮影)。

 このうち、JRと新幹線をアンダーパスする「豊トンネル」の西側には、バス停用の施設が設置されています。バスの停留スペースとして路肩部が切り欠きになっており、路面標示ではっきりと「バス停」の文字が書かれています。現在、武蔵小山駅方面から大井町駅へ向かうバス路線はありませんが、このバス停はどう活用されるのでしょうか。

 品川区を東西方向にむすぶバス路線は現在、大井町駅から新馬場駅経由で山手通りに入り渋谷へ向かう「渋41」、大森駅(大森操車所)から環七通りを新代田駅まで走る「森91」、地域路線として大井町駅と西大井駅、荏原営業所をむすぶ「井01」がある程度で、いずれも東急バスの路線です。

 このような大井町駅の交通アクセスを改善し、区内の「ラストワンマイル」の移動手段を確保するため、品川区がコミュニティバスを2021年度末から実証運行する予定です。

 2021年2月策定の「品川区コミュニティバス導入計画」によると、コミュニティバスのルートは3ルートあり、大井町駅~大崎駅~大崎広小路駅の「大崎ルート」、大森駅~西大井駅の「大森ルート」、武蔵小山駅~荏原中延駅~西小山駅の「荏原ルート」が計画されています。この3ルートはいずれも、今回開通の「豊トンネル」「ふたばトンネル」は通行しません。では、周辺地域で路線バスを運行する東急バスなのでしょうか。

どうなる? 大井町直結の新バス路線

 補助26号線の工事を担当した東京都建設局第二建設事務所へ、前出のバス停施設について尋ねたところ、「品川区は、道路開通にあわせた新たなバス路線の開設をバス事業者に要望しています。その背景から、バス停の設置を見越したスペースを配置しました」とのこと。また、区が「品川区地域公共交通基本方針(素案)」の策定に当たり募集したパブリックコメントへの回答でも、区民から「武蔵小山と大井町とを結ぶ路線バス」が要望されており、これに対し区が「事業者へ要望している」旨を回答しています。

 区は事業者を明言していませんが、上記の状況をふまえると、東急バスが武蔵小山駅~大井町駅でバス路線を新設する可能性が高いと言えます。

目黒通り~大井町つながった「環6.5」にバス路線新設? 謎の“バス停施設”使いみちを聞いた

品川区周辺の東急バスの路線図(画像:東急バス)。

 現在補助第26号線(鮫洲大山線)を通行する東急バスの路線は、五反田駅を発着し、世田谷区民会館へ向かう「反11」および東京医療センターへ向かう「反12」です。両ルートは中原街道から鮫洲大山線に入り、目黒通りの目黒郵便局へ抜けていきます。大井町方面への系統新設にあたり、武蔵小山発着ではなく、この2ルートが大井町駅へ振り分けられる可能性もあります。

 また、鮫洲大山線は経由しませんが、「渋41」と「森91」のちょうど中間部を走る目黒~三軒茶屋間の「黒06」系統が存在。

こうした路線を東急バスエリア内でつなぎ合わせれば、
「三軒茶屋~目黒通り~武蔵小山~大井町」という路線も考えられます。

 このような長大路線は、東急バスといえど縮小傾向にあり、その実現は容易ではないかもしれませんが、都市計画道路として整備が完了した目黒郵便局~大井町駅の区間が「環6.5」の異名通り、バス路線でも新たな東西軸を牽引していくことになることに期待がもたれています。

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