首都高の埼玉県内における北の終点、さいたま見沼出入口から延伸し、東北道までつなげる路線の計画が、国の委員会で優先検討区間に位置付けられました。埼玉南部でも混雑が「最もひどい地域」の緩和を目指します。
田んぼのなかにある首都高の「北の終点」が、延伸されるかもしれません。
国土交通省 大宮国道事務所が2021年12月10日(金)に立ち上げた埼玉県東西軸道路検討会にて、首都高のさいたま見沼出入口と東北道をつなぐ区間を優先検討区間に位置づけ、ルートなどの具体的な検討を進めていく方針が打ち出されました。
首都高のさいたま見沼出入口付近(画像:PIXTA)。
さいたま見沼出入口は、S5埼玉大宮線の与野JCTから東へ向かい、さいたま新都心の地下を貫くS2埼玉新都心線の終点です。「見沼たんぼ」と呼ばれる広大な田園地帯のなかにあり、幹線道路である第二産業道路に通じています。とはいえ埼玉新都心線の交通量は多くはなく、2006(平成18)年の全線開通後も暫定2車線のままです。
検討会で取りまとめられた「埼玉新都心線~東北道」区間の案は、「多車線の自動車専用道路」とし、おおむねの終点を東北道の岩槻IC~浦和IC間としています。ルートとしては、見沼たんぼを横断し、そこからさらに台地を貫くことになりそうです。
前出の検討会は、埼玉県の圏央道以南における渋滞対策を話し合う会議です。この圏央道と外環道のあいだの地域は、2018年の千葉外環(外環道 三郷南IC~高谷JCT)開通後に交通量が増加し、物流施設の立地や人口の集積も進行。「東西軸」の道路を整備することが急務になっているといいます。
「なかでも、もっともひどい状況だったのが、さいたま市を中心とした『埼玉大宮線~東北道』のエリアで、交通容量が全然足りていないことがわかりました」
大宮国道事務所は、今回の検討会の立ち上げを「具体化へ向けたキックオフ」といい、この区間から新たな“東西軸”の整備を進める意義をこう話します。
埼玉県の圏央道以南エリアを西側の「東京都境~埼玉大宮線」、中央部の「埼玉大宮線~東北道」、東側の「東北道~千葉県境」に分けて混雑状況を分析した結果、「埼玉大宮線~東北道」エリアは主要渋滞箇所が46か所と最も密集しており、昼間12時間旅行速度が30km/h以下の区間が多く、平均旅行速度も22.5km/hと最も低かったといいます。
「埼玉大宮線~東北道がつながれば、東京都心への高速道路がダブルルートになり、交通の流れも変わってくるでしょう。このエリアの渋滞緩和が期待されます」(大宮国道事務所)。
もともと「第二の外環道」の一部大宮国道事務所は、東西軸のなかでも、この「埼玉大宮線~東北道」を優先し、概略計画の検討(計画段階評価)を進めるといいますが、西側の「東京都境~埼玉大宮線」、東側の「東北道~千葉県境」の東西軸整備についても、引き続き分析していくと話しました。
背景には、「第二の外環道」の構想があります。国の構想路線「核都市広域幹線道路」のことです。圏央道と外環道のあいだに構想された環状道路であり、埼玉新都心線は、それに一部重複する形です。
核都市広域幹線道路については埼玉県や東京都などが、かねて具体化を国に要望しており、2021年7月には、国土交通省の関東地方整備局が打ち出した「関東ブロック新広域道路交通計画」にも改めて核都市広域幹線道路の構想が記載されました。大宮国道事務所は、この交通計画を“上位計画”と説明し、個別の整備路線を、この計画に紐づいて整理していくといいます。

「関東ブロック新広域道路 交通ビジョン」に示された核都市広域幹線道路の構想。地域の中心となる業務核都市どうしを環状に結ぶ(画像:大宮国道事務所)。
埼玉新都心線~東北道区間について、検討会の資料では、「地域の重要な区域・施設を把握し、見沼田圃を始め生活環境、自然環境、歴史・文化資源等に配慮する」「さいたま市が中心となり、国や埼玉県とも連携し、道路の必要性等について地域住民の理解を得られるよう、積極的に取り組む」などとされています。