種子島宇宙センターにおける2021年最後のロケットが発射、打ち上げは成功に終わりました。天候にも恵まれ、夜空を切り裂く光は、打ち上げから10分以上も見えていました。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工は2021年12月23日午前0時32分、鹿児島県にある種子島宇宙センターからH-IIAロケット45号機を打ち上げました。そして、発射から26分18秒後には、H-IIAに搭載していた通信衛星「インマルサット6」初号機の切り離しも完了し、打ち上げは成功。真夜中の打ち上げながら雲で空が覆われることはなく、星の見える、晴れの天候でした。
H-IIAロケット45号機の打ち上げ(金木利憲/東京とびもの学会撮影)。
当初の打ち上げ日時は22日23時33分52秒でしたが、ロケットに確認が必要な事態が起こったため、1時間ほど延期され、日をまたいでの打ち上げとなりました。成功を受け三菱重工側の登壇者である阿部氏は「本日の成功でH-IIAは45機中44機成功となった。成功率はおよそ97.77%となる。H-IIAの商業打ち上げは今回で最後だが、今後のH3につながっていく」と述べています。
一方、衛星打ち上げを依頼したインマルサット側の登壇者ディッキンソン氏は「ロケットは非常に良い性能で、打ち上げを成功することができた。良いチームだった。すべての関係者、種子島の人々、応援してくれた見学者に感謝する」とコメントしています。
ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、種子島宇宙センターが置かれている鹿児島県南種子町が設置する4か所の見学場のうち、恵美之江(えびのえ)展望公園は事前申し込み制となりました。
H-IIAロケット45号機の打ち上げが1時間ほど延期した理由、それは推進薬搭載後の1段目機体の温度や圧力データに変動が見られたことで、その確認が必要となったからです。発生したのは、打ち上げ7時間ほど前の12月22日17時ごろで、そこから一定時間、点検が行われていました。
また、打ち上げ後には種子島宇宙センター内の射点、すなわち発射台付近で火災が見られたものの、これは周辺の草木がロケットの炎で燃えたものでした。当初はウォーターカーテン用の放水銃で散水していましたが消し止められず、最終的には待機していた消防車2台を投入して2時半頃に鎮火しました。

打ち上げ後の射点火災と、散水するウォーターカーテン(金木利憲/東京とびもの学会撮影)。
なお今回、筆者(金木利憲:東京とびもの学会)は、機体を組立棟から射点に運ぶドーリーという移動用車両が、従来のものを使用していた点に注目しました。56個ものタイヤで、重いロケットと発射台を丸ごと支える車両です。
前回、2021年10月26日のH-IIAロケット44号機の打ち上げでは、新型ドーリーが用いられていたため、今回のH-IIAロケット45号機も新型ドーリーに載せられて登場するのかと思っていたのですが、蓋を開けてみたら旧型ドーリーでした。
ただ、この点について聞いてみたところ、ドーリーの運用方針が、旧型から新型へ徐々に切り換えていく形を採っているからだとのこと。
そのため44号機で使用した新型ドーリーに異常が起こったなどというわけではなく、計画通りに45号機は旧型を用いたとのことです。