海自の八戸飛行場を拠点にするというハナシも。

すでに2回、日本の空で試験済み

 アメリカの無人航空機メーカー、GA-ASI(ゼネラルアトミクス・エアロノーティカルシステムズ)は2022年4月6日、自社の無人航空機「シーガーディアン」が海上保安庁に採用されたと発表しました。

 説明によると、海上保安庁の業務の一端である、捜索救助や災害対応、海上法執行活動などの広域海洋監視を実施するために「シーガーディアン」は用いられるそう。運用は2022年10月から開始される予定としています。

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海上保安庁が採用を決めた無人航空機「シーガーディアン」(画像:GA-ASI)。

 すでにGA-ASI社は、2018年5月に長崎県壱岐市の壱岐空港で、「シーガーディアン」の原型である大型無人機「ガーディアン」の飛行実証試験を実施したのち、2020年10月から11月にかけて海上自衛隊の八戸航空基地(青森県)を拠点に「シーガーディアン」の実証試験を行っています。

 これら試験の結果を受けて今回、海上保安庁による採用が決まったようで、GA-ASIトップのリンデン・ブルーCEO(最高経営責任者)は「私たちは、シー・ガーディアンでJCG(海上保安庁)の海上監視ミッションを支援できることを誇りに思います」とコメントしています。

連続30時間以上飛行し続けることが可能

「シーガーディアン」の機体サイズは全長11.7m、翼幅24m、離陸重量5670kg。

パフォーマンスは最大高度4万フィート(約1万2000m)、最大30時間以上の航続時間を有しており、飛行速度は最大390km/h以上とのこと。

海上保安庁 EEZ監視などでUAV「シーガーディアン」を2022年10月から運用へ GA-ASI
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海上自衛隊の八戸航空基地で実証事件を行った際の「シーガーディアン」(画像:GA-ASI)。

 搭載するシステムは、逆合成開口レーダー(ISAR)や、イメージングモードを備えたマルチモード海洋表面探査レーダー、AIS(自動船舶識別装置)、光学カメラと赤外線カメラを搭載した高精細のフルモーションビデオセンサーなどで構成されています。これらセンサー技術を活用することによって、数千平方海里上の船舶情報をリアルタイムで検出し、識別することが可能とのこと。また、搭載するレイセオン製のSeaVue海洋表面探査レーダーは、船舶ターゲットの連続追跡に加えて、AISトランスミッターのレーダー追跡と連動するそうです。

 加えて「シーガーディアン」は、全天候性と、NATOの耐空性要件(STANAG)を満たした型式認証を取得しているため、搭載する衝突回避レーダーなどを活用することで、民間空域においても安全かつ柔軟な運用が可能だとしています。